2012/9/10

競争法

露ガスプロムに競争法違反の疑い、欧州委が正式調査開始

この記事の要約

欧州委員会は4日、世界最大の天然ガス供給会社であるロシアのガスプロムがEU競争法に違反している疑いで、正式調査を開始したことを明らかにした。中東欧諸国での独占的な地位を悪用し、価格つり上げなど不当な行為に及んでいる疑いが […]

欧州委員会は4日、世界最大の天然ガス供給会社であるロシアのガスプロムがEU競争法に違反している疑いで、正式調査を開始したことを明らかにした。中東欧諸国での独占的な地位を悪用し、価格つり上げなど不当な行為に及んでいる疑いがあるとしている。

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欧州委は昨年9月、中東欧を中心とする複数のEU加盟国で、ガスプロムの関連会社に立ち入り調査を実施。非公式に競争法違反問題での調査を進めてきた。その結果、ガスプロムがチェコ、ハンガリー、ポーランド、リトアニア、エストニア、ラトビア、ブルガリア、スロバキアにおいて、独占的な立場を乱用して、これらの市場を分断して各国間でガスの自由な輸送を妨げているほか、ガス供給の多様化を阻害し、さらにはガス価格を原油価格に連動する形で吊つり上げている疑いがあると判断。さらに踏み込んだ調査の実施を決めた。

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欧州委は声明で、これらの疑惑が事実であった場合、「競争の制限による価格上昇を招き、エネルギーの安全保障も脅かす」として、同社に厳しい制裁を科す姿勢を示した。

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EUは天然ガス需要の25%をロシアからの輸入に頼っている。とくにリトアニアはガスプロムからの輸入に100%依存している状態だ。こうした中、ガスプロムがウクライナとの価格交渉の不調から2009年1月に同国向けガス供給を停止し、ウクライナ経由でロシアからガス供給を受けているEU 18カ国で供給が停止または大幅に減少する事態に陥るといった弊害が出ている。

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このためEUは、エネルギーの安定確保に向け、エネルギー市場の自由化や供給源、輸送ルートの多様化に取り組んでいるが、同政策をめぐってロシアと対立状態にある。今回のガスプロム問題を受けて、ロシアとの対立が激化する恐れが出てきた。

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