2012/9/17

産業・貿易

ユーロ圏の銀行監督をECBに一元化、欧州委が正式提案

この記事の要約

欧州委員会のバローゾ委員長は12日、ユーロ圏17カ国の銀行監督を一元化する案を正式発表した。欧州中央銀行(ECB)にユーロ圏の全銀行を監督する権限を与える。来年1月の新制度発足を目指す。\ バローゾ委員長が欧州議会で発表 […]

欧州委員会のバローゾ委員長は12日、ユーロ圏17カ国の銀行監督を一元化する案を正式発表した。欧州中央銀行(ECB)にユーロ圏の全銀行を監督する権限を与える。来年1月の新制度発足を目指す。

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バローゾ委員長が欧州議会で発表した案によると、ユーロ圏の銀行の監督を各国の金融当局に委ねている現行システムに代わって、ECBが唯一の監督機関となる。各国当局は今後も日々の監視活動を続けるが、あくまでECBを補佐する位置づけにとどまる。ECBは銀行の健全性などを厳しくチェックするほか、銀行設立などの許認可権を持つ。また、規制に違反した銀行への制裁発動や、資本不足に陥った銀行に対応を命じる権限を有する。破たんした銀行の処理も主導する。

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監督一元化は3段階で実施される。まず来年1月から、すでに公的資金の注入を受けている銀行をECBの監督下に置く。7月1日から同対象を大手銀行に拡大し、2014年1月から残る銀行も監督下に入る。

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英国など非ユーロ圏は監督一元化の対象外となるが、自主的に新制度に参加することができる。また、非ユーロ圏に本店がある銀行も、ユーロ圏内の支店はECBの監督下に置かれる。

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銀行監督の一元化は、6月末のEU首脳会議で合意したもの。債務危機に直面するユーロ参加国に対するEUの金融支援の新たな枠組みとなる「欧州安定メカニズム(ESM)」が、各国の銀行に直接支援できるようにするための前提となっている。

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当初は金融システム全体に影響を及ぼす大手銀行のみが対象になるとの見方もあったが、欧州委は連鎖的に破綻が広がるリスクなどを考慮して、6,000を超えるユーロ圏内の全銀行をECBの監督下に置くことを決めた。ただ、同案実現にはEU全加盟国および欧州議会の承認が必要。ドイツが全銀行をECBが監督するのは不可能として難色を示しており、調整の難航が予想される。また、欧州の金融センターであるシティを抱え、金融主権を重視する英国は、新制度に加わらない見通しだ。

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銀行監督の一元化は、「銀行同盟」創設構想の第1段階。欧州委は第2段階として、銀行の破たん処理を進めるための共同基金の設立、第3段階として預金保険制度の統一を検討している。

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