2012/9/24

総合 –EUウオッチャー

中国が欧州債務危機支援を継続、EUとの首脳会議で合意

この記事の要約

EUと中国の首脳会議が20日ブリュッセルで開かれ、温家宝首相は欧州債務危機の克服に向け、今後もユーロ加盟国の国債などの購入を続ける考えを示した。一方、EUは気候変動対策で中国側に協力を約束。温室効果ガス排出量取引制度の創 […]

EUと中国の首脳会議が20日ブリュッセルで開かれ、温家宝首相は欧州債務危機の克服に向け、今後もユーロ加盟国の国債などの購入を続ける考えを示した。一方、EUは気候変動対策で中国側に協力を約束。温室効果ガス排出量取引制度の創設を支援することなどで合意した。

\

温首相はファンロンパイ大統領、欧州委員会のバローゾ委員長との会談で、「欧州は債務危機への対応で正しい方向に向かっており、中国は今後も危機支援で役割を果たしていく」と発言。そのうえで「重要なことは、すべての政策を完全に実施することだ」と述べ、EUに危機克服に向けた改革の早期実現を求めた。

\

EUが今月初めに中国製太陽光発電用パネルについてダンピング(不当廉売)調査を開始するなど、摩擦が高まっている通商問題に関しては、EUと中国が互いに重要な貿易相手であることを確認し、保護貿易主義的な政策を回避して相互に市場開放を進めることで合意した。EUは中国にとって最大の貿易相手、中国もEUにとって米国に次ぐ貿易相手となっており、EU・中国間の貿易額は2011年に4,280億ユーロと、10年前に比べて4倍近くに拡大している。

\

気候変動対策では、EUが技術面などで協力する姿勢を表明したのに対し、中国側は温室効果ガス排出削減に向けた取り組みの強化を約束した。欧州委のピエバルグス委員(開発担当)によると、EUは中国が創設を目指している排出権取引市場の制度設計などで支援を行うという。

\

一方、温首相は首脳会議の冒頭、EUが1989年の天安門事件を受けて導入した中国に対する武器禁輸の解除を求めるとともに、中国を速やかに市場経済国として承認するよう訴えた。同首相は就任当初からこれら2つの問題についてEUに対応を求めてきたが、過去10年間に事態はほとんど進展しておらず「極めて遺憾だ」と発言。しかし、EU側は同発言を退任を控えた温首相による過去の首脳会議の「総括」と位置づけ、会議で議題に取り上げることはしなかった。

\

このほか、ファンロンパイ大統領は尖閣諸島をめぐり、中国で広がった反日デモに懸念を表明。外交を通じて平和的な解決を図るよう求めた。温首相はこれに対し、中国の基本的な立場を説明したうえで、外交的な手段で事態の収拾にあたる方針を示した。

\