2012/10/1

産業・貿易

欧州の太陽光パネル業界団体、中国の補助金問題でもEUに調査要請

この記事の要約

欧州で太陽光パネルを生産する事業者の業界団体「EUプロサン」は9月25日、中国の太陽光パネルメーカーが不当な公的補助を受けているとして、欧州委員会に調査を要請したと発表した。同団体はダンピング問題でも中国企業を糾弾し、欧 […]

欧州で太陽光パネルを生産する事業者の業界団体「EUプロサン」は9月25日、中国の太陽光パネルメーカーが不当な公的補助を受けているとして、欧州委員会に調査を要請したと発表した。同団体はダンピング問題でも中国企業を糾弾し、欧州委から調査開始を取り付けたばかり。欧州市場での失地回復に向けて、中国企業排除の動きを強めている。

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EUプロサンのミラン・ニチュケ会長(独太陽光パネル大手ソーラーワールドの副社長)は声明で、中国の太陽光パネルメーカーは政府系金融機関を通じて「無制限」で補助金を交付されており、これが生産過剰を招いて国内需要の20倍を超える製品が生産され、EU市場などに廉価で輸出する事態を引き起こしていると指摘。さらに、「補助金がなければ、とっくの昔に多くの企業が倒産していたはずだ。それに対して欧州では、今年だけで20社以上が経営破たんに追い込まれた」と述べ、中国政府の不当な補助が欧州メーカーに大きな打撃を与えていると主張した。

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ブルームバーグによると、中国政府系の中国開発銀行は2010年以降、国内の太陽光パネル12社に総額432億米ドルの融資を行った。EUプロサンは、融資は返済されないケースが多く、返済した場合も代わって政府が直接融資しているため、無制限に近い状態で資金を提供している状況にあるとしている。

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EUプロサンは7月、中国の太陽光パネルメーカーが製品をEUに不当な廉価で輸出し、域内の業界に大きな打撃を与えているとして、欧州委に反ダンピング調査の実施を要請。これを受けて欧州委は9月6日に反ダンピング調査を開始した。

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欧州委は新たな苦情について、45日以内に反補助金調査の開始の是非を決定する。欧州委が両ケースについてEUプロサンの主張を認めた場合、中国メーカーは反ダンピング関税と反補助金関税(相殺関税)を課され、EUと中国の通商摩擦が一段と過熱することになる。

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