2012/10/8

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が金利据え置き、総裁「国債買い取りの準備完了」

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は4日にスロベニアで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.75%に据え置くことを決めた。金利据え置きは3カ月連続。一方、ドラギ総裁はスペインなど重債務国の国 […]

欧州中央銀行(ECB)は4日にスロベニアで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.75%に据え置くことを決めた。金利据え置きは3カ月連続。一方、ドラギ総裁はスペインなど重債務国の国債を買い入れる計画について、実施の準備ができているとして、対象国が条件を満たせば、いつでも買い取りを開始する意向を表明した。

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ECBは7月に0.25%の利下げを実施し、政策金利は過去最低の0.75%まで下がった。ユーロ圏では景気悪化が続き、4-6月期の域内総生産(GDP)伸び率は前期比マイナス0.2%となったことから追加金融緩和を求める声が根強いが、インフレ率が上昇傾向にあるほか、ECBが9月に国債買い取りを表明してから金融市場の混乱が沈静化していることから、様子を見守ることにしたもよう。ドラギ総裁によると、今回の理事会では追加利下げの是非さえ討議されなかったという。

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ECBは先月の定例政策理事会で、スペインなどユーロ圏の重債務国の国債の利回りが高止まりしていることを受け、これらの国の国債を流通市場で無制限で買い入れる措置を決定した。償還期間が1~3年以内の国債が対象となる。

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ECBによる国債買い取り開始については、対象国がまず、財政危機に直面するユーロ参加国に対するEUの緊急金融支援の枠組みである「欧州金融安定基金(EFSF)」またはその後継基金である「欧州安定メカニズム(ESM)」に支援を要請し、同基金が国債購入を開始することが条件となる。さらに対象国は、財政再建計画をまとめなければならない。このためスペインは、厳しい財政再建を迫られることを懸念し、これまでのところ国債買い取り要請を控えている。

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ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ECBは国債購入の「準備ができている」と発言。対象国から要請があり、前提条件を満たしていれば購入を開始できる状態にあることを明らかにした。また、条件について「必ずしも過酷である必要はない」と述べた。

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