2012/10/1

環境・通信・その他

欧州委がクラウド推進の新戦略発表、標準化・認証制度統一など柱

この記事の要約

欧州委員会は9月27日、EUレベルでクラウドコンピューティングの利用拡大を図るための新戦略を発表した。欧州委はクラウドコンピューティングを最大限に活用することで、2020年までに欧州内で新たに250万人の雇用が創出され、 […]

欧州委員会は9月27日、EUレベルでクラウドコンピューティングの利用拡大を図るための新戦略を発表した。欧州委はクラウドコンピューティングを最大限に活用することで、2020年までに欧州内で新たに250万人の雇用が創出され、域内総生産の1%に相当する年間1,600億ユーロの経済効果が生まれると指摘。多くの潜在ユーザーが抱いている互換性やセキュリティ面などの懸念を払拭してクラウドサービスの利用を推進するため、標準化やEU共通の認証制度の構築などに取り組む方針を示している。

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クラウドコンピューティングはインターネットなどのネットワークを利用して、サービスプロバイダーのコンピューターに保管されたデータやソフトウエアにアクセスする仕組み。クラウドサービスを導入することで、ユーザーは自前でソフトや関連機器を用意したり、データを保存・管理する必要がなくなり、大幅な経費削減を実現できる。さらにエネルギー利用効率の改善にもつながる。欧州委は2010年に「クラウドコンピューティングの未来」と題した報告書をまとめ、情報通信技術(ICT)分野の技術革新を通じてEU経済の繁栄を目指す「デジタルアジェンダ」の一環として、EU全体でクラウドコンピューティングの振興を図る必要性を強調。クラウドコンピューティングのメリットを最大限に活用するためには「クラウド・フレンドリー」な環境を整えるだけでなく、積極的に利用を推進しなければならないとの立場を打ち出し、各方面との協議を通じて具体策の検討を進めていた。

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欧州委は新戦略の柱として◇2013年末までにクラウドコンピューティングの標準規格を策定し、クラウド間の相互運用性やデータポータビリティを確保する◇EU共通の認証制度を導入してクラウドコンピューティングの信頼性を高める◇クラウドサービスの利用に関する標準的な契約条項を定めた約款を策定する◇EU各国で公共部門におけるクラウドコンピューティングの導入を推進し、IT関連支出の20%をクラウドサービスの調達に充てる――などを挙げている。

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欧州委のクルース副委員長(デジタル政策担当)は「クラウドコンピューティングは欧州経済に変革をもたらすものだ。クラウドコンピューティングのメリットを最大限に活用するため、EUレベルでさまざまなルールを整備する必要がある」と強調している。

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