EUが債務危機対策の一環として、ユーロ圏各国に財政改革への取り組みを拘束力のある契約の形で約束することを求める方向で検討を進めている。2日付の英『フィナンシャル・タイムズ』が伝えた。
\今月18~19日に開かれるEU首脳会議を前に、ファンロンパイ大統領が加盟国政府に配布した文書によると、ユーロ圏17カ国は、EUから承認を受けた構造改革プログラムと工程表の実施を約束する契約に署名することを求められる。実現すれば、イタリアやフランスのように多額の債務を抱えながら、構造改革が進んでいない国に対する監督を厳格化すべきだというドイツの主張に沿う格好となるが、EUの権限を一段と強化するこうした構想の実現にはEU基本条約の抜本的改正が不可欠。介入を嫌う加盟国から反発の声があがることも確実で、曲折が予想される。
\文書にはこのほか、ユーロ圏の経済・財政統合に向け、ユーロ圏諸国で共同管理する「中央予算」を創設する構想も盛り込まれている。中央予算の導入には、債務の相互化に頼ることなく資金をプールすることができるとしてドイツが支持を表明しており、フランスのモスコビシ財務相も先月、このような共通予算をユーロ圏の失業給付制度の運用に活用することができるとして、前向きな姿勢を示している。ただ、首脳会議に向けた事前協議に参加しているEU関係者によると、中央予算の創設には大国を中心とする加盟国の一部が熱意を見せているものの、資金の拠出や使途など具体的な内容については共通の認識に至っておらず、早期の実現は難しそうだ。
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