2012/10/15

産業・貿易

金融取引税導入が実現へ、ユーロ圏11カ国が先行実施

この記事の要約

EU加盟国は9日に開いた財務相理事会で、共通の金融取引税を導入する案について協議し、ドイツ、フランスなどユーロ圏11カ国が導入を目指す意向を表明した。これにより、一部の国だけで先行導入するために必要な基準を満たしたことか […]

EU加盟国は9日に開いた財務相理事会で、共通の金融取引税を導入する案について協議し、ドイツ、フランスなどユーロ圏11カ国が導入を目指す意向を表明した。これにより、一部の国だけで先行導入するために必要な基準を満たしたことから、とりあえず11カ国で実施する見込みとなった。

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一般的に「トービン税」と呼ばれる金融取引税は、投機的な取引の抑制が主眼。EUでは昨年8月に独自の金融取引税を導入したフランスが、世界的な金融危機を招いたリーマンショックの再発防止と同時に、経営危機に陥った銀行をEUが支援するための財源確保に向けて、域内共通の金融取引税導入を提唱。欧州委員会が昨年9月に正式提案していた。

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同案をめぐっては、これまでにフランスのほかドイツ、オーストリア、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、スロベニアの7カ国が支持を表明済み。しかし、自国の金融主権維持にこだわる英国やオランダが強く反対し、調整が難航していた。

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EUのEU基本条約には、加盟国のうち9カ国以上が法案などに賛同すれば、それらの国だけで先行して実施することを認める条項がある。これまでは賛同国が9カ国を下回っていたが、同日の理事会で新たにイタリア、スペイン、スロバキア、エストニアが参加を表明し、必要な数が集まったことから、11カ国で先行導入する方針が固まった。

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欧州委は株式・債券取引に0.1%、デリバティブ(金融派生商品)取引に0.01%の率で課税するという案を提示しているが、あくまでたたき台。11カ国は欧州委が11月にまとめる具体案に基づいて調整を進める。年内の最終合意を目指す。

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