2012/10/22

総合 –EUウオッチャー

銀行監督一元化を13年内に実施、EU首脳会議で合意

この記事の要約

EU加盟国は18、19日にブリュッセルで開いた首脳会議で、ユーロ圏17カ国の銀行監督を一元化する計画の実施スケジュールについて合意した。法的な枠組みを整備する作業を年内に終え、2013年内に運用を開始する。\ 銀行監督の […]

EU加盟国は18、19日にブリュッセルで開いた首脳会議で、ユーロ圏17カ国の銀行監督を一元化する計画の実施スケジュールについて合意した。法的な枠組みを整備する作業を年内に終え、2013年内に運用を開始する。

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銀行監督の一元化は、6月末のEU首脳会議で合意したもの。ユーロ圏の銀行の監督を各国の金融当局に委ねている現行システムに代わって、欧州中央銀行(ECB)が6,000を超えるユーロ圏内の全銀行を監督下に置く。同制度の導入は、債務危機に直面するユーロ参加国に金融支援を行う「欧州安定メカニズム(ESM)」が、資金繰りに行き詰まった各国の銀行に政府を通さず直接支援できるようにするための前提となっている。

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EU「銀行同盟」創設構想の第1段階となる銀行監督の一元化をめぐっては、欧州委員会が9月、来年1月からの実施を目指す方針を打ち出していた。まず来年1月から、すでに公的資金の注入を受けている銀行をECBの監督下に置き、7月1日から同対象を大手銀行に拡大し、2014年1月から残る銀行も監督下に入るという内容だ。しかし、ユーロ圏の2大国であるドイツとフランスの意見対立によって調整が難航し、具体的なスケジュールは未定となっていた。

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首脳会議で合意したスケジュールは、債務危機対策としてESMによる銀行直接支援の早期実施が必要として、来年1月からの導入を求めるフランスと、同制度の開始に慎重な姿勢を示すドイツの双方に配慮して妥協した形。法制化の作業を年内に完了することを明記した一方で、導入時期については「2013年内に」とすることで幅を持たせ、ドイツの同意を得た。より詳細なスケジュールは11月中旬にユーロ圏17カ国が開く財務相会合で協議される見通しだが、EU筋はAFP通信に対して、導入は「早くても13年夏になるだろう」としている。

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今回の合意により、銀行監督一元化の道筋は整ったが、具体的な運用システムは未定。欧州委案では、各国当局が今後も日々の監視活動を続けるが、あくまでECBを補佐する位置づけにとどまることや、ECBは銀行設立などの許認可権や、規制に違反した銀行への制裁発動、資本不足に陥った銀行に対応を命じる権限を持ち、破たんした銀行の処理を主導することなどが定められているが、調整が必要となる。

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ポーランドなど非ユーロ圏にありながら参加に前向きの国々をどのように取り込んでいくかも大きな課題となる。さらに、ESMによる銀行への直接支援の開始時期も、今回は明示されなかった。EU筋は13年後半になるとの見通しを示している。

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