2012/11/12

産業・貿易

中国がEUの太陽光発電めぐりWTO提訴、通商紛争が一段と激化

この記事の要約

中国商務省は5日、EU加盟国の一部が域内で生産された太陽光パネルを使った発電を不当に優遇しているとして、EUを世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。中国製の太陽光パネル、部品に対する反ダンピング調査を開始したEUへ […]

中国商務省は5日、EU加盟国の一部が域内で生産された太陽光パネルを使った発電を不当に優遇しているとして、EUを世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。中国製の太陽光パネル、部品に対する反ダンピング調査を開始したEUへの新たな対抗措置に踏み切った格好だ。一方、EUは8日、中国製品に対する反補助金調査も開始すると発表。太陽光パネルをめぐる中国、EUの通商紛争は泥沼の様相を呈してきた。

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商務省は声明で、一部のEU加盟国は域内製太陽光パネルが供給する電力に補助金を支給しており、「中国の太陽光パネル輸出に大きな打撃を与えている」と指摘。これがWTOのルールに違反するとして、提訴したことを明らかにした。

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中国の主張の詳細は不明だが、国営新華社通信によると、イタリア、ギリシャが再生可能エネルギーを使って生じた電力を固定価格で買い上げる制度を導入していることを問題視しているという。EUと中国は、まず当事者間協議を行って話し合いによる解決を目指すが、60日以内に決着しない場合はWTOの紛争処理小委員会(パネル)で本格的に争うことになる。

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EUの欧州委員会は9月、中国の太陽光パネルメーカーが公的支援を後ろ盾にして、製品をEUに不当な廉価で輸出し、域内の業界に大きな打撃を与えている疑いで、反ダンピング調査を開始した。これに反発した中国政府は1日、EUが輸出する太陽光パネル向けの多結晶シリコンについて、反ダンピングおよび反補助金調査を開始すると発表したばかり。

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欧州委が開始した中国製の太陽光パネル、部品への反補助金調査は、欧州で太陽光パネルを生産する事業者の業界団体「EUプロサン」が反ダンピング調査に続いて求めていたもの。EUプロサンは9月、中国の太陽光パネルメーカーが不当な公的補助を受けているとして、欧州委員会に調査を要請していた。

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欧州委は最長13カ月をかけて調査を行う。9カ月が経過した時点で不当な補助を行っているという疑いが濃厚となれば、暫定的な反補助金関税(相殺関税)を課すことができる。

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