2012/11/19

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏がギリシャ財政再建期限の延長で合意、次回融資実施は先送り

この記事の要約

ユーロ圏は12日に開いた財務相会合で、ギリシャに義務付けられている財政再建の達成期限について、同国政府の要請を受け入れて2年延長することで合意した。一方、最大の焦点となっている同国への次回融資実施に関しては承認を見送り、 […]

ユーロ圏は12日に開いた財務相会合で、ギリシャに義務付けられている財政再建の達成期限について、同国政府の要請を受け入れて2年延長することで合意した。一方、最大の焦点となっている同国への次回融資実施に関しては承認を見送り、20日に再協議することを決めた。

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ギリシャは債務危機の深刻化を受けて、EUと国際通貨基金(IMF)から第1次、2次合わせて総額2,400億ユーロに上る金融支援を取り付け、これまでに約1,500億ユーロの融資を受けた。しかし、5月に発足した新政権が、支援の見返りとして旧政権が約束した財政再建計画の見直しを要請したため、6月から融資が凍結状態にある。

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政府は融資再開に向けて、単年の財政赤字をEUの財政規律で上限となっているGDP比3%以下に抑える期限を2014年から16年に延長するという要求を除いて妥協し、厳しい緊縮策を継続することを決定。8日に135億ユーロ規模の財政緊縮策実施に向けた法案を可決、12日には同緊縮策を盛り込んだ2013年度予算案も可決し、次回融資の実施に向けた環境を整えた。

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ユーロ圏財務相会合では、ギリシャが予想を上回る深刻な景気後退に陥っていることなどを考慮し、赤字削減期限の2年延長を承認した。ただ、ギリシャが求めている315億ユーロの次回融資の実施については結論を見送った。会合終了後に発表された共同声明は、その理由について「重要な行動の実行がいくつか残っている」と述べるにとどまっているが、財政健全化の先送りによって300億ユーロ超の資金が追加で必要になることから、その手当てを決める必要があると判断したもようだ。

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ギリシャは16日に50億ユーロの国債の償還期限を迎えた。融資の実行に関する協議が20日に持ち越しとなったことで国庫が尽きたが、政府は13日に実施した短期国債の入札で40億6,250万ユーロを調達。さらに15日にも国債発行で9億3,750万ユーロを調達して償還に充て、デフォルト(債務不履行)を免れた。

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