2012/11/26

産業・貿易

心房細動患者向け脳卒中予防薬、欧州委が承認

この記事の要約

米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)とファイザーは20日、両社が共同で開発した経口抗凝固剤「ELIQUIS」(一般名:アピキサバン)について、欧州委員会から心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症の予防 […]

米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)とファイザーは20日、両社が共同で開発した経口抗凝固剤「ELIQUIS」(一般名:アピキサバン)について、欧州委員会から心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症の予防薬として承認されたと発表した。EU市場では待機的股関節または膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症予防薬としてELIQUISの販売が認可されているが、新たに心房細動患者向けの脳卒中および脳梗塞や心筋梗塞といった全身性塞栓症の予防薬としての適応が認められた。

\

心房細動は持続性不整脈の一種で、欧州ではおよそ600万人、米国でも500万人が発症しているとされる。心房細動患者では一般的な成人と比べて脳卒中の発症リスクが約5倍に上り、心房細動を原因とする脳卒中の死亡率は発症後30日以内で24%、1年以内では50%と、他の原因による脳卒中より高くなっている。

\

現在、心房細動患者の脳卒中予防には「ワルファリン」と呼ばれる抗凝固剤が用いられているが、出血リスクが増すため定期的な血中濃度のモニタリングや投与量の調整が不可欠で、食事療法やライフスタイルの変更を余儀なくされるケースも多い。これまでの臨床試験から、アピキサバンはワルファリンに比べて大量出血のリスクが低く、脳卒中および全身性塞栓症に対して高い発症抑制効果が確認されており、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は9月、ELIQUISの適応拡大について肯定的な見解を示していた。

\

BMSとファイザーは米食品医薬品局(FDA)に対しても、心房細動患者の脳卒中および全身性塞栓症予防薬としてELIQUISRの承認申請を行っており、来年3月に最終判断が示される見通し。EU市場に続いて米国でもELIQUISRが承認された場合、同薬はBMSとファイザーの主力製品の1つとなり、推定100億ドル規模の抗凝固剤市場で主導権を握るとみられている。

\