2013/1/14

総合 –EUウオッチャー

英国でEU離脱論高まる、国民投票の早期実施も

この記事の要約

英国では欧州債務危機への対応などをめぐるEUとの対立を背景に、国民の間でEU脱退論が高まっている。キャメロン首相は今月中に対EU政策に国民投票の早期実施も\ ついて演説を行う予定だが、米高官が「英国はEUから離脱すべきで […]

英国では欧州債務危機への対応などをめぐるEUとの対立を背景に、国民の間でEU脱退論が高まっている。キャメロン首相は今月中に対EU政策に国民投票の早期実施も

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ついて演説を行う予定だが、米高官が「英国はEUから離脱すべきではない」との見解を表明したことで、与党・保守党内では米国の内政干渉に対する反発から、EU離脱の是非を問う国民投票を急ぐべきだとの強硬論も出始めている。

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英国はユーロ危機対応のほか移民政策、労働政策など多くの分野でEUに譲歩してきた経緯があり、最近の世論調査ではEU離脱を支持する意見が過半数に達している。一方、経済界はEUとの関係維持を訴えており、キャメロン首相は2015年の総選挙後に国民投票を実施する意向を示している。

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こうしたなか、訪英中のゴードン米国務次官補(欧州問題担当)は9日、「米国は引き続き英国がEU内で強い発言力を持つことを望む」と発言し、英国内で高まるEU 離脱論を牽制した。これに対し、保守党の強硬派は「米国の内政干渉」と猛反発。来年にも国民投票を実施すべきだとしてキャメロン首相への圧力を強めている。

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キャメロン首相はEU離脱は英国の国益に反するとの立場だが、EU懐疑派からの突き上げが厳しさを増すなか、主要分野で英国の発言権が強化されるようEUに制度改革を求めていく方針を示している。しかし、EU当局は英国の要求に応じれば悪しき前例をつくることになり、EUの弱体化につながるとして歩み寄りの姿勢を見せておらず、ドイツやアイルランドなども「Brixit(英国のEU離脱)」は英国の孤立を招くと警告している。

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