2013/1/28

総合 –EUウオッチャー

ECBの長期資金、278行が前倒し返済

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は25日、ユーロ圏の信用不安対策として2011年12月から12年2月にかけて実施した総額1兆ユーロ超の長期資金供給オペ(公開市場操作)で資金を調達した銀行のうち、278行が前倒しで返済することを決め […]

欧州中央銀行(ECB)は25日、ユーロ圏の信用不安対策として2011年12月から12年2月にかけて実施した総額1兆ユーロ超の長期資金供給オペ(公開市場操作)で資金を調達した銀行のうち、278行が前倒しで返済することを決めたと発表した。返済額は予想を上回る1,371億6,000万ユーロに上り、銀行の資金繰り改善が進んでいることが確認された。

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ECBは2011年12月、これまでで最長となる3年物の資金を政策金利と同水準の年1%という低金利で無制限で供給することを決定。同21日に実施された第1回のオペで523銀行に総額4,892億ユーロを供給し、12年2月の第2回オペで800銀行に総額5,295億ユーロを供給した。信用不安で資金繰りが悪化しているユーロ圏の銀行を支援することで、銀行が手控えていた重債務国の国債の購入、企業への貸し出しを促す狙いがあった。

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同オペで資金を調達した銀行は、全額または一部を前倒しで返済することが認められており、同返済の開始日は第1回オペが1月30日、同2回目が2月27日となっている。

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ECBが発表した278行の前倒し返済は第1回分。借り入れた資金の約28%が返済期限の15年1月に先立って返済されることになる。対象銀行は公表されないが、ドイツ銀行、独コメルツバンク、仏BNPパリバ、スペインのバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)などが第1回または2回分の前倒し返済を実施することを公表している。

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多くの銀行が返済を前倒しすることは、金融市場の混乱が終息に向かい、妥当な金利で市場から資金を調達できる環境が整ってきたことを意味する。ECBが昨年7月に利下げを実施し、政策金利を過去最低の0.75%に引き下げたことで、財務が安定化した銀行が同オペを下回る金利で資金を調達することが可能となっていることも背景にある。また、銀行側には、前倒し返済を公表することで、資金繰りの問題がないことを投資家にアピールする意図もあるもようだ。

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