2013/2/4

総合 –EUウオッチャー

ラトビアが来年のユーロ導入へ前進、議会が関連法案可決

この記事の要約

2014年1月のユーロ参加を目指すラトビアの議会は1月31日、ユーロ導入関連法案を賛成多数で可決した。これを受けて政府は3月までに欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)にユーロ導入を正式申請する。\ 可決したのは、ユーロ導入 […]

2014年1月のユーロ参加を目指すラトビアの議会は1月31日、ユーロ導入関連法案を賛成多数で可決した。これを受けて政府は3月までに欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)にユーロ導入を正式申請する。

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可決したのは、ユーロ導入に伴う通貨切り替えの手順を定めた法案と、財政規律に関する法案。通貨切り替え法案には、ユーロ現金の流通開始から2週間を旧通貨ラトとの併用期間とすることなどが盛り込まれている。財政規律に関しては、累積債務がEUの財政規律で上限となっている国内総生産(GDP)比60%を超えそうになった場合、政府に是正措置を講じることを義務付ける。

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ドンブロウスキス首相によると政府は2月または3月にユーロ導入を申請する予定。導入には、欧州委とECBによる審査をパスし、EUの承認を得る必要がある。EUは今夏にユーロ導入の可否を判断する見通しだ。

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ラトビアは当初、2008年のユーロ導入を目指しており、2005年5月にはユーロ導入の前段階となる欧州為替相場メカニズム(ERM2)に参加した。しかし、インフレ率に関する基準を満たせなかったため断念。2008~09年に世界金融危機の影響で経済が大混乱し、ユーロ導入どころではなくなった。しかし、11年にプラス成長に復帰し、財政も改善に向かったことから、2014年1月のユーロ導入を新たな目標に定め、基準達成に取り組んできた。

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ユーロ導入にはERM2に最低2年間加わり、自国通貨の対ユーロ標準値の変動率を上下15%以内に抑えることが求められるほか、財政赤字、債務残高、インフレ率、長期金利の4項目で基準を満たす必要がある。ラトビア現時点で全基準を満たしている。

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ラトビアではユーロ圏の債務危機などの影響で、同国のユーロ参加に対する国民の支持率は低く、大手銀行が実施した世論調査では14年の導入を支持する人は8%にとどまっている。今回の法案をめぐっても、ユーロ圏に入るとギリシャ救済の負担を迫られるなどとして反発する動きがあった。これに対してドンブロウスキス首相は、ユーロ導入によって金融が安定し、海外からの投資が増えるいと指摘し、ユーロ参加はラトビアに「長期的に最大の利益をもたらす」と主張。与党の支持を取り付け、法案採択にこぎ着けた。

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ラトビアと同時に2004年にEU加盟を果たした中東欧諸国では、スロベニアが06年、スロバキアが09年、エストニアが11年にユーロを導入した。ラトビアの14年の導入が承認されれば、同国は18番目のユーロ参加国となる。

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