2013/1/28

産業・貿易

ギリシャ賭博市場の独占はEU法違反、司法裁が判決

この記事の要約

欧州司法裁判所は24日、ギリシャ政府が一部出資するくじ運営業者OPAPが同国ギャンブル市場を独占し、国外の事業者を締め出しているのはEU法に違反するとの判断を下した。ギリシャ政府は判決に基づき、OPAPに付与した独占権を […]

欧州司法裁判所は24日、ギリシャ政府が一部出資するくじ運営業者OPAPが同国ギャンブル市場を独占し、国外の事業者を締め出しているのはEU法に違反するとの判断を下した。ギリシャ政府は判決に基づき、OPAPに付与した独占権を取り消して市場開放に踏み切るか、消費者保護の視点からOPAPに対する管理体制を強化して制度改革を進める必要がある。

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欧州では賭博サービスに関連した不正行為や犯罪を防止するため、多くの国で特定の事業者に独占的権利を与えて国外からの市場参入を規制する制度が導入されている。しかし、こうした制度は域内におけるサービス提供の自由を保障したEU法に抵触するのではないかとの主張から、各国で現行規制の正当性をめぐって訴訟が提起されている。欧州裁はこれまでにイタリア、ドイツ、オーストリアのケースについて原告側の訴えを認め、各国政府に対して市場開放や制度改革を命じている。

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今回の事案は、OPAPに賭博事業の独占権を与え、インターネットを通じた国外からのサービス提供を制限しているのはEU法に違反するとして、英国に拠点を置くスタンリーベット、ウィリアムヒル、スポーティングベットがギリシャ政府を提訴。同国国家評議会(最高裁に相当)がEU司法裁に判断を求めていたもの。欧州裁はギリシャでOPAPによる市場独占が生じて入る点を認めたうえで、EU法は「各国当局が犯罪防止の目的で賭博行為を規制する措置を講じることなく、1社に独占的権利を付与することを禁止している」と指摘。ギリシャ政府は外国企業の市場参入を認めるか、あるいは当局が市場開放によって十分な消費者保護を図ることができなくなると判断した場合、「OPAPに対する監督を強化して制度改革を進める必要がある」と結論づけた。

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