2013/2/11

産業・貿易

EU首脳会議が対米FTA推進で合意、対日EPAは2番目の優先度

この記事の要約

EU加盟国は8日の首脳会議で、通商政策の最優先課題として米国との自由貿易協定(FTA)を推進することで合意し、早期の交渉入りを目指す方針を表明した。EU・米間のFTAは農業分野の規制緩和などをめぐり事前協議が難航している […]

EU加盟国は8日の首脳会議で、通商政策の最優先課題として米国との自由貿易協定(FTA)を推進することで合意し、早期の交渉入りを目指す方針を表明した。EU・米間のFTAは農業分野の規制緩和などをめぐり事前協議が難航しているが、今回EU側が強いメッセージを発信したことで、オバマ米大統領が今月12日の一般教書演説で交渉入りに前向きな姿勢を打ち出す可能性もある。

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EU・米間のFTAが実現すると、世界経済のほぼ半分、世界貿易の約3割を占める巨大な自由貿易圏が創設されることになり、FTAの締結に伴いEU側だけで年間1,220億ユーロの経済効果が生まれるとの試算がある。EUと米国は自由貿易の促進を通じて経済を活性化させると共に、中国やインドなど新興国の台頭による経済のグローバル化に対応したいとの思惑で一致しており、2011年11月には「雇用と成長に関するハイレベル作業部会」を立ち上げて、欧米間の貿易促進策などについて協議を重ねている。

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首脳会議は通商・外交政策に関する声明で、「EUは引き続き多国間貿易システムの改善に取り組むが、当面の課題は二国間の貿易協定だ」と指摘。「経済の活性化と雇用創出のため、主要国との合意形成に向けてあらゆる努力をする必要がある」としたうえで、米国との「包括的な貿易協定」が最優先課題と明言。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)とカーク米通商代表部(USTR)代表を座長とするハイレベル作業部会は、近くFTA交渉の開始を勧告する報告書をまとめる見通しとなっており、首脳会議は欧州委と通商担当相理事会に対し、6月末までに同部会の勧告を実行するよう求めた。

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一方、声明は日本との関係を2番目に取り上げ、近く開かれるEU・日本の定期首脳会議で経済連携協定(EPA)の交渉開始を正式決定したい考えを表明した。さらにカナダとの間で進めているFTA交渉の早期妥結や、中国との関係では投資協定の締結交渉を早期に開始することなどを優先課題に挙げている。

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