2013/2/18

競争法

ライアンエアーのエア・リンガス買収、EUが再度阻止

この記事の要約

アイルランドの旧国営航空会社エア・リンガスの買収に乗り出している欧州格安航空最大手ライアンエアーは12日、欧州委員会から同買収を承認しないと通告されたことを明らかにした。ライアンエアーがエア・リンガス買収計画をEUによっ […]

アイルランドの旧国営航空会社エア・リンガスの買収に乗り出している欧州格安航空最大手ライアンエアーは12日、欧州委員会から同買収を承認しないと通告されたことを明らかにした。ライアンエアーがエア・リンガス買収計画をEUによって阻止されたのは2度目。同社は決定を不服として、提訴する構えを示している。

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エア・リンガスの株式29.82%を保有するライアンエアーは昨年7月、残り株を株式公開買い付け(TOB)を通じて取得することを提案した。これについて欧州委は初期審査の結果、ライアンエアーとエア・リンガスはダブリン空港発着便の大部分を運航しており、ダブリンと欧州主要都市を結ぶ便の多くを2社が独占していることから、買収による統合によって健全な競争が著しく損なわれる恐れがあると判断。11月に異議告知書を送付していた。

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ライアンエアーは買収認可を取り付けるため、エア・リンガスが運航する短距離路線の多くを買収後に手放すことなどを提案していた。しかし、同社の声明によると、欧州委は12日の協議で、なお競争上の問題があるとして、認可しないことを通告したという。

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ライアンエアーはエア・リンガスが民営化された直後の2006年10月に同社の株式29.4%を取得し、買収を正式に提案したが、政府とエア・リンガス経営陣が反発。さらに欧州委が買収を認めなかったため、断念した経緯がある。欧州委が同一の買収案件に認可を2回にわたって退けたのは初めて。

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同買収をめぐっては、エア・リンガス経営陣と大株主であるアイルランド政府が反発しており、欧州委が計画を承認したとしても成立するかどうか微妙な状況にあった。

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それでもライアンエアーは、「買収認可に向けてあらゆる是正措置を講じ、競争上の問題は解消された」と主張。欧州委の今回の決定は、EU競争法を無視し、アイルランド政府の意向を尊重した「政治的なものだ」として批判し、欧州司法裁判所に提訴する意向を表明した。

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