2013/2/25

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏の13年成長率はマイナス0.3%、欧州委が下方修正

この記事の要約

欧州委員会は22日発表した最新の経済予測で、ユーロ圏の2013年の域内総生産(GDP)予想伸び率をマイナス0.3%とし、前回(11月)のプラス0.1から下方修正した。債務危機深刻化の懸念は後退しているものの、実体経済の持 […]

欧州委員会は22日発表した最新の経済予測で、ユーロ圏の2013年の域内総生産(GDP)予想伸び率をマイナス0.3%とし、前回(11月)のプラス0.1から下方修正した。債務危機深刻化の懸念は後退しているものの、実体経済の持ち直しは雇用悪化などによって遅れ、プラス成長への復帰は14年にずれ込むと見ている。(表参照)

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EU27カ国ベースの13年の予想成長率はプラス0.1%。14年についてはユーロ圏がプラス1.4%に回復し、EUの伸び率は1.6%に拡大するとの見通しを示した。

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ユーロ圏の2012年10-12月期のGDPは前期比0.6%減で、3期連続でマイナス成長となった。12年通期では0.6%のマイナス成長だった。

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最大の懸念材料である債務危機は、欧州中央銀行(ECB)が昨年9月に重債務国の国債を無制限で買い入れる方針を打ち出したことを契機に改善に向かっており、金融市場は好転している。それでも欧州委は、銀行の貸し渋りが続いており、さらに雇用悪化、各国の財政緊縮もあって、実体経済の回復の足取りは重く、今年もマイナス成長に陥ると予想。景気回復は外需の持ち直しに引っ張られる形で徐々に進み、13年10-12月期になって設備投資、個人消費の好転で0.7%のプラス成長になり、14年は通期でプラスになると予測している。

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欧州委がとくに大きな懸念材料とするのが雇用状況だ。ユーロ圏では12年に10.2%だった失業率が13年に12.2%まで悪化し、14年も12.1%と高止まりすると予想。13年はギリシャで27%、スペインで26.9%に達すると見込んでいる。

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13年の国別の予想成長率は、ドイツが0.5%と昨年の0.7%から減速するほか、フランスが0.1%にとどまる見込み。イタリアは0.1%、スペインは1.4%の幅で落ち込み、前年に続いてマイナス成長になると予想している。債務危機の震源地となったギリシャはマイナス4.4%。6年連続の低迷となるが、14年にはプラス0.6%に回復すると見ている。

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一方、13年の財政赤字については、ユーロ圏がGDP比2.8%、EUが同3.4%と、赤字幅はそれぞれ前年の3.5%、3.8%から縮小すると予想。債務危機でEUと国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けている3カ国では、ギリシャが4.6%、アイルランドが7.3%、ポルトガルが4.9%と、EUの財政規律で上限となっている3%を大きく超えるが、前年を下回る。

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一方、主要国であるフランスの赤字は13年が3.7%、14年が3.9%と、引き続き上限を超える見通し。13年に赤字を3%以下に抑えるという約束を守れないことになる。欧州委のレーン委員(経済通貨問題担当)は記者会見で、オランド政権は労働市場の改革などによって赤字削減策を強化する必要があるとの見解を示した一方、赤字の拡大が予想を超える景気悪化といった政府による制御が不可能な要因のよるものと認定すれば、是正期限を1年延長する用意があることも示唆した。

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