2013/2/18

環境・通信・その他

シンジェンタ、使用禁止の見送り要求

この記事の要約

欧州委員会がミツバチの大量死や大量失踪の主な原因とされるネオニコチノイド系農薬3種の使用禁止を提案している問題で、スイスの農薬大手シンジェンタは15日、同措置の根拠となった欧州食品安全機関(EFSA)の調査報告には「根本 […]

欧州委員会がミツバチの大量死や大量失踪の主な原因とされるネオニコチノイド系農薬3種の使用禁止を提案している問題で、スイスの農薬大手シンジェンタは15日、同措置の根拠となった欧州食品安全機関(EFSA)の調査報告には「根本的な欠陥」があるとして、規制の見送りを求める声明を発表した。同社によると、EFSAは通常の栽植密度の2-4倍という「非現実的な極度の」過密状態で実験を行っており、EFSAの調査結果を基にした欧州委の判断には正当性がないと主張している。

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ネオニコチノイド系農薬は、近年、世界各地で深刻化しているミツバチが突然大量に失踪する「蜂群崩壊症候群」との関連性が指摘されており、仏、独、伊などでは以前から使用が制限されている。EFSAは欧州委の要請で、独バイエルの農薬部門クロップサイエンスのクロチアニジンとイミダクロプリド、シンジェンタのチアメトキサムの3種についてミツバチに与える影響を調査。1月に公表した報告書で、蜂群崩壊症候群との関連性については「十分なデータがない」として結論を見送ったものの、ネオニコチノイドはミツバチの中枢神経系に作用して麻痺や死をもたらすと指摘し、ミツバチを誘引するトウモロコシ、ナタネ、ヒマワリへのネオニコチノイド系農薬の使用禁止を勧告。欧州委はこれを受けて先月末、EFSAが調査した農薬3種について、7月1日から当面2年間にわたり、トウモロコシ、ナタネ、ヒマワリ、ワタへの使用を全面的に禁止する方針を打ち出した。

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シンジェンタは声明で、EFSAが通常の栽植密度で実験を行っていれば報告書とはまったく異なる結果が得られ、「ミツバチへのリスクは極めて低く、ネオニコチノイド系農薬は安全」と結論づけただろうと指摘。アトキン最高執行責任者(COO)は「欧州委は不完全なEFSAの報告書を利用してネオニコチノイド系農薬に対する規制を正当化している」と批判し、使用禁止の提案を撤回するよう求めている。

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