2013/3/11

競争法

携帯大手5社に対する調査打ち切り、標準策定めぐる談合疑惑に決着

この記事の要約

欧州委員会は7日、欧州の大手携帯電話事業者5社と携帯事業者の業界団体GSMAに対する競争法上の調査を打ち切ったと発表した。同委は各社の経営トップが定期的に会合を開いて新サービスの技術標準について協議していた点を問題視し、 […]

欧州委員会は7日、欧州の大手携帯電話事業者5社と携帯事業者の業界団体GSMAに対する競争法上の調査を打ち切ったと発表した。同委は各社の経営トップが定期的に会合を開いて新サービスの技術標準について協議していた点を問題視し、昨年3月から競争法違反の疑いで調査を進めていた。

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調査対象となっていたのはドイツテレコム、フランステレコム、スペインのテレフォニカ、テレコムイタリア、英ボーダフォン。「E5」と呼ばれる大手5社のトップは2010年から定期的に会合を開き、アップルやグーグルといった米国企業への対応策やモバイル決済サービスの共通化など、さまざまなテーマについて協議を行っていた。このなかで欧州委が問題視したのは、「モバイル通信分野における新サービスの技術標準」に関するもの。欧州委は域内の携帯電話市場で合わせて80%近いシェアを占めるE5の主導で標準化プロセスが進められた場合、多くのライバル会社がモバイル通信市場から締め出され、著しく競争が阻害されるとの懸念を抱いていた。

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欧州委によると、すでに技術標準の策定作業はE5からGSMAを含む複数の業界団体に引き継がれている。欧州委はより多くの利害関係者が標準化プロセスに関与できる体制が整ったことで、E5以外の事業者が市場から締め出されるといった競争阻害のリスクは大幅に低減したと判断し、5社とGSMAに対する調査を打ち切ったと説明。そのうえで、引き続きモバイル通信分野における標準化プロセスの進捗を注意深く見守っていくと表明している。

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