2013/4/15

総合 –EUウオッチャー

対キプロス金融支援を正式決定、2カ国の融資返済期限延長も=ユーロ圏

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は12日にダブリンで開いた財務相会合で、金融・債務危機に陥っているキプロスに対する最大100億ユーロの金融支援を正式決定した。また、すでに金融支援を受けているポルトガル、アイルランドの返済期限を7年延長す […]

ユーロ圏17カ国は12日にダブリンで開いた財務相会合で、金融・債務危機に陥っているキプロスに対する最大100億ユーロの金融支援を正式決定した。また、すでに金融支援を受けているポルトガル、アイルランドの返済期限を7年延長することでも合意した。

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ユーロ圏は国際通貨基金(IMF)と共同でキプロスへの金融支援を実施する。支援額はユーロ圏が90億ユーロ、IMFが10億ユーロ。ユーロ圏は債務危機に直面するユーロ参加国に金融支援を行う「欧州安定メカニズム(ESM)」を通じて支援を行う。ユーロ圏財務相会合の議長を務めるオランダのデイセルブルム財務相によると、ESMによる第1弾の支援は5月中旬に実施される見込みだ。

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経済的な結びつきが強いギリシャの信用不安の余波で金融・債務危機に直面するキプロスは3月25日、ユーロ圏と支援条件について合意していた。その柱となるのが、キプロス政府による危機対応への負担。清算する国内2位銀行キプロス・ポピュラー(ライキ)銀行および同行の優良資産を引き継ぐ最大手銀キプロス銀行の大口預金者への負担強制、増税、国有資産の売却などによって58億ユーロを捻出することになっていた。

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今回の財務相会合では、キプロスの負担額を58億ユーロではなく130億ユーロとすることが決まったが、デイセルブルム財務相は、当初の額は「総額(Gross」ではなく「正味(Net)」ベースのものであったことや、その後の財政、金融をめぐる状況の変化で追加の「緩衝」が必要になったとして、大幅な引き上げには当たらないとの見解を示した。

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一方、ポルトガル、アイルランドの返済期限延長は、両国の財政負担を軽減し、ユーロ圏とIMFの金融支援が終了した後に必要となる自力の国債発行で、有利な条件で資金を調達できる環境を整えるのが狙い。キプロス危機発生によって欧州債務危機が再燃するという懸念の余波が両国に及ぶのを未然に防ぐ意図もある。ポルトガルの場合は、同国の憲法裁判所が先ごろ、政府が2013年予算に盛り込んだ緊縮策の一部を違憲と判断し、新たな財源確保が必要となっていることも考慮した。

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アイルランドは2010年に675億ユーロ、ポルトガルは11年に780億ユーロに上る金融支援をユーロ圏とIMFから取り付けた。融資期限はアイルランドが今年11月、ポルトガルが2014年7月となっている。

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