2013/4/22

産業・貿易

銀行自己資本・賞与規制案が可決、来年1月に新ルール導入へ

この記事の要約

欧州議会は16日の本会議で、銀行員の賞与(ボーナス)に上限を設けることを盛り込んだ銀行の自己資本規制に関する法案を賛成多数で可決した。EU閣僚理事会の正式な承認を経て、2014年1月から新ルールが導入される。\ 新法はE […]

欧州議会は16日の本会議で、銀行員の賞与(ボーナス)に上限を設けることを盛り込んだ銀行の自己資本規制に関する法案を賛成多数で可決した。EU閣僚理事会の正式な承認を経て、2014年1月から新ルールが導入される。

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新法はEUが国際的な銀行資本規制「バーゼル3」を実施するためのルールを定めたもので、「資本要求規則(CRR)」および「第4次資本要求指令(CRD 4)」で構成される。金融危機の再発防止を目的とするバーゼル3は、国際的に業務展開する銀行に対し、普通株と内部留保で構成する狭義の中核的自己資本(コアTier1)比率を2019年までに7%まで引き上げることを求めている。EU加盟国はバーゼル3に基づき◇域内のすべての銀行を対象に、狭義の中核的自己資本(コアTier1)比率を現在の2%から15年までに4.5%に引き上げ、19年には7%の達成を義務づける◇各国の金融当局が自国の銀行に対して資本の上積み(資本バッファー)を課すことができる仕組みを導入する――などで合意したが、賞与規制をめぐって調整が難航していた。

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新ルールによると、銀行員のボーナスは原則として年間給与と同額が上限となる。65%を超える株主の承認があれば給与の最大2倍まで支給することが可能だが、議決が定足数(株式総数の半数を保有する株主)以下で行われる場合は75%の承認が必要となる。EU域内に本社や現地法人を置くすべての銀行が規制の対象で、たとえばEU内に本店を置く銀行の東京支店の行員や、逆に邦銀のロンドン支店の行員にも新ルールが適用される。

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世界有数の金融センターを抱える英国は、人材流出の懸念などを理由に最後まで賞与規制に反対していたが、トレーダーなどによる過度のリスク行動を抑制するには厳格な規制が不可欠と主張する欧州議会や他の加盟国に押し切られる形となった。欧州委員会のバローゾ委員長は声明で「短期間に巨額の利益を得るため、リスクの高い行動を助長してきた過剰な賞与文化に終止符が打たれる。これは公正性の問題だ。金融危機で納税者が負担を求められるならば、銀行も相応の貢献をする必要がある」と強調した。

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新法にはこのほか、銀行経営の透明性向上を目的とする財務情報の開示ルールも盛り込まれた。複数の国で事業展開している大手行は14年以降、国別に収益、納税額、各国政府から受け取った補助金の額などを欧州委に報告しなければならず、15年からはこれらの情報をすべて開示することが義務づけられる。

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