2013/4/22

産業・貿易

英政府が金融取引税導入に抵抗 欧州司法裁に提訴

この記事の要約

英オズボーン財務相は19日、同国政府がEU11カ国による金融取引税導入を不当として、欧州司法裁判所に提訴したことを明らかにした。11カ国以外の金融取引にも課税されることを問題視したもので、訴訟を通じて見直しを求める。\ […]

英オズボーン財務相は19日、同国政府がEU11カ国による金融取引税導入を不当として、欧州司法裁判所に提訴したことを明らかにした。11カ国以外の金融取引にも課税されることを問題視したもので、訴訟を通じて見直しを求める。

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ドイツ、フランス、イタリアなど11カ国が導入する金融取引税は、金融危機再発防止に向けた投機的な取引の抑制と、経営危機に陥った銀行を公的支援するための財源を金融業界に負担させるのが目的。欧州委員会が2月に発表した具体案では、株式・債券取引に0.1%、デリバティブ(金融派生商品)取引に0.01%の率で課税する。11カ国以外での金融取引であっても、取引される金融商品が11カ国で発行されたものであれば課税対象とする。例えば、同制度に参加しない英国で仏国債が売買された場合も課税される。

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欧州の金融取引の中心地であるシティを抱え、金融主権を重視する英国は、当初からEU共通の金融取引税導入に難色を示していた。このほかルクセンブルクなども導入を見送った結果、加盟国のうち9カ国以上が法案などに賛同すれば、それらの国だけで先行して実施することを認めるEU基本条約の規定に基づき11カ国だけで導入することになった経緯がある。

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オズボーン財務相は11カ国が金融取引税を導入すること自体については「原則的に反対ではない」としながらも、非導入国の取引にも課税する「域外適用」に法的問題があるとしている。

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域外適用をめぐっては、米政府も反発している。英国による欧州裁への提訴には、11カ国に圧力をかけ、本格的な係争に発展する前に同ルールの見直しを促す意図があるとみられる。

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