2013/5/6

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が10カ月ぶり利下げ、過去最低の0.5%に

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は2日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.75%から0.25ポイント引き下げ、過去最低の0.5%とすることを決めた。利下げは昨年7月以来10カ月ぶり。景 […]

欧州中央銀行(ECB)は2日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.75%から0.25ポイント引き下げ、過去最低の0.5%とすることを決めた。利下げは昨年7月以来10カ月ぶり。景気下支えのため追加利下げが必要と判断した。ドラギ総裁はさらなる金融緩和も示唆している。

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ユーロ圏では信用不安が沈静化しつつあるが、実体経済回復の動きは鈍く、失業率の悪化も止まらない。このためドラギ総裁は前月の理事会後に追加利下げを示唆しており、今回の決定は予定通り。景気動向に加えて、ユーロ圏のインフレ率が急低下(EU18795の記事参照)していることも利下げの判断材料となった。総裁は理事回後の記者会見で、一部の理事から0.5ポイントの利下げを求める声が挙がったことに言及し、「必要になれば行動する用意がある」と述べ、さらなる利下げを視野に入れていることも明らかにした。

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市場ではECBの政策金利がすでに過去最低水準にあることから、追加利下げの景気浮揚効果は限定的と見る向きが多い。ドラギ総裁によると流動性対策として、ECBが低利の資金を無制限で市中銀行に供給する措置継続の期限を7月から2014年7月まで延長することを決定。また、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(オーバーナイト金利)を0%としているが、これをマイナス金利とすることを検討していることも明らかにした。銀行の貸し渋りを解消し、資金繰りが厳しい中小企業を中心に資金が行き渡るようにすることで、景気を下支えするという意図がある。さらに総裁は、中小企業向け融資の拡大に向けて、企業向け融資を裏づけとする資産担保証券(ABS)市場の機能不全を解消し、取引を活発化される方向で関係機関との協議に入る方針も示した。

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