2013/5/6

総合 –EUウオッチャー

今年のユーロ圏成長率はマイナス0.4%、欧州委が春季予測で下方修正

この記事の要約

欧州委員会は3日発表した春季経済予測で、ユーロ圏の2013年の域内総生産(GDP)予想伸び率をマイナス0.4%とし、前回(2月)の同0.3%から0.1ポイント下方修正した。債務危機が峠を越えたことでマイナス幅は12年の0 […]

欧州委員会は3日発表した春季経済予測で、ユーロ圏の2013年の域内総生産(GDP)予想伸び率をマイナス0.4%とし、前回(2月)の同0.3%から0.1ポイント下方修正した。債務危機が峠を越えたことでマイナス幅は12年の0.6%から縮小するものの、実体経済の回復は遅く、引き続き景気が低迷すると予想。失業率は過去最悪に達するとみている。(表参照)

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ユーロ圏ではギリシャに端を発した債務危機が沈静化に向かい、金融市場は改善している。しかし、欧州委は各国が進める財政緊縮の影響で個人消費、設備投資は停滞しており、14年まで内需の回復は見込めないとして、今年の予想成長率を下方修正。14年にプラス1.2%に回復すると予想した。

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EU27カ国ベースの予想成長率は13年がマイナス0.1%で、前回のプラス0.1%から引き下げた。14年は1.4%と予想した。

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今年の予想成長率を国別にみると、主要国ではフランス、イタリア、スペインがマイナス成長となる見通し。ドイツはプラス0.4%となったが、他の加盟国の景気低迷の影響で外需が落ち込むとして、上げ幅は前回の0.7%から下方修正された。

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景気見通しが改善したのはギリシャ。予想成長率はマイナス4.2%となったが、前回から0.2ポイント上方修正された。マイナス幅は12年の6.4%を大幅に下回る。EUなどからの金融支援を受けながら財政再建を進め、債務危機が後退していることを受けたもので、欧州委は14年にはプラス0.6%に回復するとみている。

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失業率については、景気低迷の長期化で一段と悪化し、12年に11.4%だったユーロ圏は13年に過去最悪の12.2%に上昇し、14年も12.1%と高止まりする見込み。ギリシャとスペインは13年に27%まで上昇すると予想した。欧州委のレーン委員(経済通貨問題担当)は声明で「景気低迷が長期化する中、何としても雇用危機を克服しなければならない」と危機感をあらわにした。

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一方、ユーロ圏の13年の財政赤字は域内総生産(GDP)比2.9%と、前年の3.7%から改善するが、赤字削減のペースは遅く、14年は2.8%と小幅の縮小にとどまる見込み。主要国ではフランスが13年は3.9%、14年は4.2%と、EUの財政規律で上限となっている3%を超過する見通しだ。レーン委員は「財政再建は進んでいるが、ペースはスローダウンしている」と苦言を呈した。

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