2013/5/6

産業・貿易

中国製太陽光パネルのダンピング問題、6月に相殺関税仮決定へ

この記事の要約

欧州委員会が中国製の太陽光パネルに対する反ダンピング(不当廉売)調査を進めている問題で、同委は暫定的に相殺関税を適用する方針を固めたもようだ。ロイター通信が3日、消息筋の話として報じた。欧州委のデフフト委員(通商担当)は […]

欧州委員会が中国製の太陽光パネルに対する反ダンピング(不当廉売)調査を進めている問題で、同委は暫定的に相殺関税を適用する方針を固めたもようだ。ロイター通信が3日、消息筋の話として報じた。欧州委のデフフト委員(通商担当)は8日にも、欧州委メンバーおよび各国の通商当局者に対して相殺関税の仮決定を提案する見通しという。

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中国は世界最大の太陽光パネル生産国で、世界全体で65%のシェアを持つ。生産の8割以上を輸出しており、このうち欧州向けが約8割を占める。2011年のEU向け輸出額は210億ユーロに上った。欧州で太陽光パネルを生産する20社以上が加盟する業界団体の「EUプロサン」は昨年7月、中国の太陽光パネルメーカーが公的補助を利用して製品をEUに不当な廉価で輸出し、域内のメーカーに大きな打撃を与えているとして、欧州委に反ダンピング調査の実施を要請。中国政府はダンピングを否定して話し合いによる解決を求めていたが、欧州委は9月に調査の開始を決定した。

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EUプロサンによると、中国では低利融資をはじめとする補助金制度が後押しするかたちで国内需要の20倍を超える太陽光パネルが生産されており、域内メーカーの製品に比べて45%も安い価格でEU向けに輸出されている。反ダンピング調査は最長15カ月をかけて行われるが、その間にダンピング行為の存在が明白になった場合、調査開始から9カ月以内に暫定的な相殺関税を適用することができる。

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あるEU関係者はロイター通信に対し、「デフフト委員は中国製の太陽光パネルに対する相殺関税の仮決定を下す方針だ」と発言。不当な貿易から域内メーカーを保護するため、5月8日に開く欧州委の定例会議で反ダンピング措置の発動を提案する方針で、暫定的な相殺関税の税率は30%以上になるとの見方を示した。欧州委はコメントを拒否している。

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中国製の太陽光パネルをめぐっては、米政府も反ダンピング調査を行っており、すでに昨年5月から暫定的な相殺関税をかけている。さらにEUは今年2月、太陽光パネルに続いて中国製の太陽光発電用ガラス(ソーラーガラス)に対する反ダンピング調査を開始した。

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