2013/5/13

総合 –EUウオッチャー

英でEU離脱論広がる、保守党内で首相に圧力

この記事の要約

英国でEU離脱をめぐる議論が活発化し、政権与党の保守党内部では、英国に有利な加盟条件を引き出したうえでEU残留を目指す方針のキャメロン首相に対する風当たりが強まっている。同首相は2015年の次期総選挙で与党が勝利した場合 […]

英国でEU離脱をめぐる議論が活発化し、政権与党の保守党内部では、英国に有利な加盟条件を引き出したうえでEU残留を目指す方針のキャメロン首相に対する風当たりが強まっている。同首相は2015年の次期総選挙で与党が勝利した場合、EUとの間で英国の加盟条件について再交渉したうえで、17年末までにEU残留の是非を問う国民投票を行うと表明しているが、今月2日に行われた統一地方選挙ではEU離脱を主張する右派政党・英国独立党(UKIP)が大躍進する一方、与党は惨敗しており、保守党の重鎮からは再交渉の意義を否定する意見や、総選挙前に国民投票の実施を明文化すべきだといった声が出ている。

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英国では以前からEU脱退論がくすぶっており、EUと英国の関係をめぐる議論はとりわけ保守党にとってサッチャー政権から続く難問だが、実際のところは国民の大部分がEU支持派とみられてきた。キャメロン首相が条件付きながら国民投票でEU残留の是非を問うことを確約したのも、反EUは少数派との前提に基づく判断だが、先の地方選でEU離脱論が急速に広がっている現状が浮き彫りになった。

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こうしたなか、サッチャー政権で財務相を務めたナイジェル・ローソン氏は英有力紙タイムズへの寄稿で、キャメロン首相が公約しているEU加盟条件をめぐる再交渉を行ったとしても、英国が得るものはほとんど何もないと強調。英国はEUを離脱すべきだとの考えを示した。また、保守党の有力議員で脱EUを唱える強硬派のピーター・ボーン議員は「仮に次期総選挙で(野党第1党の)労働党が勝利した場合、国民投票は行わないだろう」と指摘。選挙前に国民投票の実施を確定させる必要があると語った。

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キャメロン首相は自らの姿勢に対する批判を受け、政府が9日にロンドン市内で開いた金融関係者らを対象とする投資説明会でEU問題に言及した。首相はEUに改革の余地はなく、英国は早くEUから離脱すべきだとの主張は「悲観論だ」と指摘。「EUの改革は可能だと考えている」と述べ、EU条約の見直しが最優先課題との立場を改めて強調した。

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