2013/6/3

環境・通信・その他

11年の温効ガス排出量は3.3%減、90年以降で最低に

この記事の要約

欧州環境庁(EEA)が5月29日公表したリポートによると、EU27カ国における2011年の温室効果ガス排出量は前年比3.3%減となり、1990年以降で最低水準を記録した。暖冬傾向で全体的に電力需要が抑えられたことや、生産 […]

欧州環境庁(EEA)が5月29日公表したリポートによると、EU27カ国における2011年の温室効果ガス排出量は前年比3.3%減となり、1990年以降で最低水準を記録した。暖冬傾向で全体的に電力需要が抑えられたことや、生産活動の緩やかな回復と寒波の影響で前年比2.4%増となった2010年の反動によるもの。11年の総排出量は二酸化炭素(CO2)換算で前年を1億5,500万トン下回った。

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EUは20年までにEU域内の温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも20%削減する目標を掲げており、EEAによると11年時点で18.4%の削減を達成したことになる。ただ、11年はCO2排出量が比較的少ない天然ガスの消費量が前年比11%減と落ち込む一方、石炭の需要が大幅に拡大した。これは米国でシェールガスの開発・生産が急拡大したことに伴い、石炭が低価格で大量に輸出され、加盟国の一部で石炭火力発電の占める割合が大幅に拡大したことによる。

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EU27カ国の実質GDPが1.6%の伸びを示す中で、温室効果ガス排出量が予想を上回る減少幅となったことについて、EEAのマックグレード事務局長は「2010年は温暖な冬の気候に助けられた側面が大きいが、全体としては20年の目標達成に向けて順調に進んでいる」と指摘。そのうえで、コスト面から再生可能エネルギーの利用が伸び悩む一方、石炭など化石燃料への依存度が上昇傾向を見せている点に触れ、「欧州が低炭素社会への転換を実現するには技術革新への持続的な投資が不可欠だ」と強調している。

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