2013/6/10

産業・貿易

LIBORの監督権限をEU機関へ、欧州委が今夏にも法案提出

この記事の要約

欧州委員会は、不正操作問題が発覚したロンドン銀行間取引金利(LIBOR)について、同金利の監督をパリに本部を置く欧州証券市場監督局(ESMA)に担当させることを検討している。5日付け『フィナンシャル・タイムズ』が、入手し […]

欧州委員会は、不正操作問題が発覚したロンドン銀行間取引金利(LIBOR)について、同金利の監督をパリに本部を置く欧州証券市場監督局(ESMA)に担当させることを検討している。5日付け『フィナンシャル・タイムズ』が、入手した法案の草稿をもとに伝えた。

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LIBORはロンドン市場での資金取引の銀行間平均貸し手金利で、国際的な融資取引やスワップ金利などデリバティブ商品の基準金利として利用されている。同金利の不正操作問題をめぐっては、英国のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)とバークレイズ、スイスUBSの大手銀行3行が制裁金を科された。

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欧州委は、「一部の重要な銀行間指標金利は多くの加盟国の銀行と行政、消費者に影響する可能性がある」と指摘。これらの指標金利を各国当局が監督することは、「有効ではなく、重要な指標金利がもたらすリスクに効果的に対処できないと予想される」として、「LIBORやEURIBOR(欧州銀行間取引金利)のような重要指標を監督する権限をESMAに与えることが必要だ」と主張している。このほか法案には、指標金利の設定には取引データあるいは「検証可能なデータ」の利用を義務付けることや、重要な指標金利の設定に必要な個別の金利を申告するパネルに銀行を強制的に参加させる権限を監督当局に付与することなどが盛り込まれている。

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欧州委がLIBORの監督権限を移管することを検討しているESMAは、投資家の保護強化や金融システムの安定を目的とするEUの専門機関の一つ。英政府はLIBORの不正操作スキャンダルが明るみ出たことを受けて制度改革に着手。新たに設立した金融行為監督機構(FCA)がLIBORを監督しており、欧州委の方針に反発することも予想される。

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法案は今夏にも提出される予定。欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)の広報担当官は、「より一層の透明性を確保し、利害の対立を抑制し、指標の代表性を保証するための『グッドガバナンスルール』を確立するものだ」と法案の意義を強調した。

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