2013/6/10

環境・通信・その他

EU加盟国がフカヒレ漁の全面禁止で最終合意、年内に規制実施へ

この記事の要約

EU加盟国は6日の閣僚理事会で、高級食材のフカヒレを目的としたサメ漁を全面禁止する規制案を承認した。これまでは条件付きで「フィンニング」と呼ばれるフカヒレ漁が認められてきたが、乱獲でサメの個体数が急速に減少し、一部の種が […]

EU加盟国は6日の閣僚理事会で、高級食材のフカヒレを目的としたサメ漁を全面禁止する規制案を承認した。これまでは条件付きで「フィンニング」と呼ばれるフカヒレ漁が認められてきたが、乱獲でサメの個体数が急速に減少し、一部の種が資源枯渇の危機にある。このため欧州委員会は2011年、EU域内で操業するすべての漁船と域外で操業するEU籍の漁船を対象に規制を強化し、フカヒレ漁を全面禁止する案を打ち出した。欧州議会はすでに規制案を承認しており、正式な手続きを経て年内にもフカヒレ漁が全面的に禁止される見通しだ。

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EUではスペイン、ポルトガル、フランス、英国を中心に年間10万トン前後のサメが水揚されており、フカヒレ取引の中心的な市場である香港ではEUからの輸出が全体の3分の1を占めている。サメは寿命が長く成長が遅いうえに繁殖率が低いため、乱獲で打撃を受けやすく、国際自然保護連合(IUCN)の調査によると、EU域内に生息する約80種のサメのうちおよそ3分の1が絶滅の危機にあるとされる。

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EUでは2003年以降、捕獲したサメのヒレだけを切り取って本体は海に投棄するフィンニングを禁止している。しかし、一定の条件を満たす場合は船上でヒレを「処理」し、ヒレと本体を別々の港で水揚げすることが認められているため、こうした例外規定を悪用したフカヒレ目的の乱獲に歯止めがかかっていないのが実情。欧州委はサメの資源保護を図るにはこうした規制の抜け穴をなくす必要があるとして、例外なくフカヒレ漁を禁止する新ルールを提案していた。

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閣僚理ではポルトガルが規制案に反対票を投じたが、残る26カ国の支持で承認された。新規制の導入により、EU域内で操業する外国籍を含むすべての漁船と域外で操業するEU籍の漁船は、ヒレがついた状態で本体を水揚げすることが義務付けられる。ただし、船上での保存および取り扱いを容易にするため、ヒレの一部に切り込みを入れ、本体でヒレを包み込む形で保持することは認められる。

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