2013/6/24

総合 –EUウオッチャー

金融取引税、年金基金と国債取引は軽減=欧州議会金融委

この記事の要約

欧州議会の経済金融委員会は18日、EU11カ国が導入する金融取引税に関する欧州委員会の具体案を大枠で支持する方針を打ち出した。ただし、国債取引、年金基金による取引の税率に関しては、欧州委員会の提案より低めに抑える修正案を […]

欧州議会の経済金融委員会は18日、EU11カ国が導入する金融取引税に関する欧州委員会の具体案を大枠で支持する方針を打ち出した。ただし、国債取引、年金基金による取引の税率に関しては、欧州委員会の提案より低めに抑える修正案をまとめた。欧州議会は7月の本会議で同問題について審議する。

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一般的に「トービン税」として知られる金融取引税のEUでの導入は、リーマンショックに端を発した世界的な金融危機の元凶となった投機的な取引の抑制と同時に、経営危機に陥った銀行を公的支援するための財源を銀行業界に前もって負担させるのが目的。加盟国のうち9カ国以上が法案などに賛同すれば、それらの国だけで先行して実施することを認めるEU基本条約の規定に基づき、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、スロベニア、スロバキア、エストニアの11カ国が導入することを決め、1月のEU財務相理事会で承認された。現在は来年1月の導入を目指し、具体案を固めている段階にある。

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欧州委が2月に発表した具体案は、株式・債券取引に0.1%、デリバティブ(金融派生商品)取引に0.01%の率で課税するという内容。これをめぐっては、年金基金による投資と一般投資家による国債購入については、投機という側面が比較的小さく、金融・国債市場の活発化に寄与しているとして、別扱いとすることを求める声が強まっている。

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これを受けて欧州議会の経済金融委は、2017年1月までは税率を国債取引で0.05%、年金基金による株式取引で0.05%、債券取引で0.005%に軽減する案を採択した。

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欧州議会はEU11カ国による金融取引税の先行導入そのものは承認済み。その具体的な運用については、欧州議会は諮問的役割を担うにとどまり、決定権は11カ国にあることから、今回の修正は勧告のような位置づけとなる。

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