2013/7/1

総合 –EUウオッチャー

クロアチアがEU加盟、28カ国体制に拡大

この記事の要約

クロアチアが1日、EUに正式加盟した。EU拡大は6年ぶりで、加盟国は28カ国に増える。旧ユーゴ諸国のEU入りは、04年に加盟したスロベニアに続く2カ国目となる。\ クリアチアの首都ザグレブのイェラチッチ広場では、30日深 […]

クロアチアが1日、EUに正式加盟した。EU拡大は6年ぶりで、加盟国は28カ国に増える。旧ユーゴ諸国のEU入りは、04年に加盟したスロベニアに続く2カ国目となる。

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クリアチアの首都ザグレブのイェラチッチ広場では、30日深夜から1日未明にかけて祝賀式典が開催。午前零時にEUの公式歌であるベートーベンの「歓喜の歌」が鳴り響き、花火が打ち上げられると、集まった約2万人の市民が大歓声をあげた。ヨシポビッチ大統領は演説で、「我が国に新たな歴史が開かれた。すべての国民が欧州の民主主義と文化的価値観を共有することが確認された」と述べた。

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クロアチアの加盟によって、EUの人口は440万人増え、5億680万人(12年1月時点の統計に基づく)となる。域内総生産(GDP)は440億ユーロ増の12兆9,450億ユーロ(12年時点)に拡大する。

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バルカン半島に位置するクロアチアは、1991年にユーゴ連邦から独立。2003年にEU加盟を申請し、05年に加盟交渉が開始された。加盟交渉は同国とスロベニアの領海権をめぐる紛争などで停滞する局面もあったが、同時に交渉を開始したトルコと比べると順調に進み、11年6月に交渉が完了。同年末に加盟条約に調印した。

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東方拡大を推進するEUでは、第1弾として2004年にポーランド、ハンガリーなど10カ国が加盟。07年にルーマニア、ブルガリアが加盟し、27カ国体制となった。新たに加盟したクロアチアを含めて、計11カ国の旧共産圏諸国を取り込んだ形となる。

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EUは今後、マケドニア、モンテネグロ、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニア、コソボ、トルコ、アイスランドの加盟を予定している。うちモンテネグロ、トルコ、アイスランドとは加盟交渉を開始。6月28日の首脳会議で、セルビアとの加盟交渉開始を決めた(後続記事参照)。

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ただ、EUは経済発展が遅れている多くの旧共産圏諸国を短期間に受け入れたことで、補助金支給の対象国が膨れ上がり、予算運営が厳しくなるといった“拡大疲労”に直面していることから、今後は拡大を慎重に進める方針。例外的な状況にあるアイスランドを除いて早期の加盟が見込まれる国はなく、東方拡大は小休止となりそうだ。

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