2013/7/29

産業・貿易

EUとモロッコが新漁業協定に調印、欧州議会が否決の可能性も

この記事の要約

EUとモロッコは24日、新たな漁業協定に調印した。新協定はモロッコがEUの漁船に同国水域での漁業操業権を与える見返りに、EUが年4,000万ユーロを支払うという内容。ただ、紛争地域である西サハラの水域が含まれていることで […]

EUとモロッコは24日、新たな漁業協定に調印した。新協定はモロッコがEUの漁船に同国水域での漁業操業権を与える見返りに、EUが年4,000万ユーロを支払うという内容。ただ、紛争地域である西サハラの水域が含まれていることで、欧州議会が前回に続いて協定承認を拒否する可能性がある。

\

新協定は期間4年。スペインなどEU11カ国の126隻の漁船がモロッコ水域で操業できるようになる。EU側が支払う4,000万ユーロのうち1,000万ユーロは漁船の所有者が負担する。

\

EUはモロッコと2007年に締結した漁業協定に基づき、モロッコ水域での漁業操業権を得ていた。しかし、同協定の延長が2011年12月に欧州議会で否決されたため、協定が失効。スペインを中心とする漁船がモロッコ沖に出漁できず、モロッコも貴重な外貨収入源を失う状態となっている。

\

欧州議会が旧協定の延長に反対したのは、モロッコが1975年に一方的に併合した西サハラの水域が含まれていることや、資源保護、モロッコの漁民の権利保護の面で問題があるとしたため。とくに西サハラ問題については、国際社会がモロッコ領として承認していないことから、国際法に違反するとして大きく問題視した。

\

新協定には、モロッコの漁民の利益を重視し、EU予算から支払われる3,000万ユーロのうち1,400万ユーロを同国の漁業支援に充てることが盛り込まれた。しかし、西サハラの問題については、同地域の沖合いの水産資源が豊富で、EUの漁船による漁獲が集中するため、旧協定から変更しなかった。

\

このため、欧州議会が新協定を認めない可能性があり、欧州委員会のダマナキ委員(漁業・海事担当)も記者団に「欧州議会が承認するかどうか予測不可能だ」と語った。

\