2013/8/5

総合 –EUウオッチャー

伊ベルルスコーニ元首相の有罪確定、政局混乱の懸念も

この記事の要約

イタリアの最高裁判所は1日、巨額の脱税の罪に問われていたベルルスコーニ元首相について、禁錮4年の判決を言い渡した。ベルルスコーニ氏率いる自由国民党はレッタ首相の連立政権の一翼を担っており、同氏の有罪が確定したことで政権が […]

イタリアの最高裁判所は1日、巨額の脱税の罪に問われていたベルルスコーニ元首相について、禁錮4年の判決を言い渡した。ベルルスコーニ氏率いる自由国民党はレッタ首相の連立政権の一翼を担っており、同氏の有罪が確定したことで政権が動揺し、政局が不安定化する可能性もある。

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ベルルスコーニ氏は、実質的に所有するテレビ局グループ「メディアセット」の映画放映権購入に絡み約730万ユーロの脱税を主導したとして、昨年10月にミラノ地裁から禁錮4年、公職追放5年の有罪判決を受けた。同氏は判決を不服として高裁に控訴したが、高裁も1審の判決を支持したため、最高裁に上告していた。

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最高裁は今回、禁錮刑については1審、2審の判決を支持する一方、公職追放については高裁に差し戻し、追放の期間を再検討するよう命じた。ベルルスコーニ氏は贈賄や未成年者買春などで20回以上起訴されているが、有罪が確定したのは今回が初めて。ただ、有罪が確定しても禁錮は恩赦法に基づき1年に減刑されるうえ、ベルルスコーニ氏は76才と高齢のため、法律の規定により収監されず、禁錮刑は自宅軟禁または社会奉仕活動で代替される。

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1994年以降3期にわたって首相を務めたベルルコーニ氏は、数々のスキャンダルに見舞われながらも伊政界で依然として大きな影響力を持つ。中道左派・民主党と中道右派・自由国民が手を組んだレッタ大連立政権の後ろ盾としても存在感を発揮してきたが、有罪判決の確定によって求心力の低下は避けられず、連立政権内の緊張が高まる恐れがある

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