2013/8/5

産業・貿易

銀行賞与規制でEBAが新ルール発表、「CoCo」活用時の資本水準など

この記事の要約

EU加盟国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は7月29日、銀行員の賞与(ボーナス)規制について、金融機関が報酬パッケージとして強制転換社債を活用する際の条件を定めた規則案を発表した。短期の利益確保を目的と […]

EU加盟国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は7月29日、銀行員の賞与(ボーナス)規制について、金融機関が報酬パッケージとして強制転換社債を活用する際の条件を定めた規則案を発表した。短期の利益確保を目的とした過度のリスクテイクを防止するため、銀行の業績が悪化した場合に債券を保有する行員に損失リスクを負わせることを柱とする内容。EBAは10月29日まで各方面から規則案に対する意見を聞いたうえで新ルールを最終決定する。

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EUは国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」を実施するためのEU法に銀行員の賞与規制を盛り込み、来年1月の実施を目指している。賞与規制はEU域内に本社や現地法人を置くすべての銀行に適用され、行員のボーナスは原則として年間給与と同額(株主の承認がある場合は最大2倍)に制限される。また、少なくともボーナスの半分は現金以外の株式などで構成することが決められている。EBAはこうしたルールを適正に運用するための条件や基準について検討を進めており、5月には原則として年間報酬額が50万ユーロを超える行員を規制の対象とする方針を打ち出していた。

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今回示された運用ルールの焦点は、金融機関の自己資本比率が一定の水準を下回るなど、一定の条件下で強制的に株式に転換される偶発転換社債(CoCo)の扱い。EBAは株式に転換するか、原本を削減(write-down)しなければならない資本水準の最低基準(トリガー)として、中核的自己資本(Tier1)比率が8.5%を下回った場合とすることを提案している。このほか、CoCoより質の低い債券についてはトリガーをTier1比率10.5%とすることや、債券の種類にかかわらず、一律の最低基準を設けて厳格に運用することなども検討している。

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このほか透明性を確保して規制逃れを防ぐための施策として、金融機関が報酬パッケージの一部として証券を発行する際、60%以上を外部の投資家向けに発行することや、もっぱらボーナス支給のために発行された証券に関しては、配当や金利に上限を設けることなどが規則案に盛り込まれている。

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