2013/8/26

総合 –EUウオッチャー

ギリシャ追加支援問題、独総選挙の争点に

この記事の要約

ドイツのショイブレ財務相は20日、EUは債務危機に直面しているギリシャに対する追加支援が必要になるとの見解を示した。独メルケル政権内から追加支援の必要性に触れる発言が飛び出したのは初めて。9月22日の総選挙に向けて、同問 […]

ドイツのショイブレ財務相は20日、EUは債務危機に直面しているギリシャに対する追加支援が必要になるとの見解を示した。独メルケル政権内から追加支援の必要性に触れる発言が飛び出したのは初めて。9月22日の総選挙に向けて、同問題が大きな争点となる見通しとなってきた。

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ギリシャはEUと国際通貨基金(IMF)から第1次、2次を合わせて総額2,400億ユーロに上る金融支援を取り付け、財政再建に取り込んでいる。しかし、IMFは7月末、ギリシャは2014、15年の2年間で109億ユーロの資金不足に陥るとの見通しを示し、第3次支援が必要と指摘していた。

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ギリシャへの追加支援の必要性は以前から各方面で指摘されていたが、ドイツ政府は総選挙を控え、同問題に関する踏み込んだ発言を避けてきた。ギリシャ支援で最大の負担を強いられてきた同国で、追加支援に世論が反発しているためだ。

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しかし、ショイブレ財務相はハンブルクで開かれた選挙キャンペーンで「ギリシャに対する新たな(支援)プログラムが必要になる」と述べ、第3次支援の必要性を明言。大きな波紋を広げた。

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ドイツでは最大野党・社会民主党(SPD)が、対ギリシャ追加支援が必要と主張。同党の首相候補であるシュタインブリュック氏(前財務相)は、与党陣営が支援問題について沈黙しているのは無責任だと批判していた。ショイブレ財務相はSPDの選挙戦略に屈し、タブーを破った格好だ。

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選挙戦でギリシャ支援問題が争点となるのを避けてきたメルケル首相は21日、追加支援については「(第2次支援が終了する)14年半ばまで決めることができない」とはぐらかし、明言を避けた。しかし、SPD側はショイブレ財務相の発言によって与党がギリシャ問題の実態を隠してきたことが露見したとして、攻勢を強めており、首相が選挙戦でだんまりを決め込むのは難しい情勢となってきた。

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