2013/9/2

産業・貿易

独の再可エネルギー法が岐路に、欧州委員が補助金削減に反対

この記事の要約

欧州委員会のエッティンガー委員(エネルギー政策担当)は、電力会社に自然エネルギー由来の電気を固定価格で全量買い取ることを義務づけたドイツの「再生可能エネルギー法(EEG)」に関連して、すでに決定している補助金を削減する新 […]

欧州委員会のエッティンガー委員(エネルギー政策担当)は、電力会社に自然エネルギー由来の電気を固定価格で全量買い取ることを義務づけたドイツの「再生可能エネルギー法(EEG)」に関連して、すでに決定している補助金を削減する新たな制度を導入すべきではないとの考えを示した。同委員は現行制度に対する批判を受け、政府がこれまでの政策を転換して補助金を削減した場合、投資家の信頼が損なわれて低炭素社会の実現に必要な資金が調達できなくなると警告。9月の総選挙後に本格化するとみられる現行制度の改正論を牽制した。

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ドイツでは再生可能エネルギー関連設備への補助金や全量買い取りの費用負担が電気料金の高騰を招いたとして、国民の間でEEGの見直しを求める声が急速に高まっている。とりわけ国際競争力を維持する目的でエネルギー集約型企業に適用されている、通常の電気料金に上乗せして課される負担金の支払いを免除する例外措置などに批判が集中しているが、総選挙を控えてこれまでのところ、改正に向けた具体的な提案は示されていない。一方、スペイン、チェコ、ブルガリアなどではドイツと同様の問題に対処するため、補助金を利用して再生可能エネルギー発電に参入した事業者に対し、遡って課税する制度が導入されたが、政府に対する投資家の批判が高まっている。

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エッティンガー委員は8月28日に開かれた再生可能エネルギーをテーマとする独経済紙「ハンデルスブラット」主催の年次会議で講演し、「補助金制度の下で太陽光パネル、バイオガスプラント、風力発電施設などを設置したすべての事業者や個人は、設置当初に保証されていた助成を受ける権利がある」と強調。すでに決定している補助金を削減すれば、再生可能エネルギー市場に対する投資意欲を著しく減退させ、低炭素社会への転換に必要な推定5,500億ユーロの資金調達が不可能になると指摘。独政府に対し「遡及的な措置を導入しないよう強く勧告する」と述べた。

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