2013/9/9

総合 –EUウオッチャー

英次期EU大使にロジャース氏、加盟条件の再交渉を担当

この記事の要約

英政府は4日、キャメロン首相のEU・外交政策顧問を務めるアイバン・ロジャース氏を次期駐EU大使に任命すると発表した。英中銀副総裁に就任するジョン・カンリフ氏の後任として、11月1日付で就任する。英国でEU離脱論が高まりを […]

英政府は4日、キャメロン首相のEU・外交政策顧問を務めるアイバン・ロジャース氏を次期駐EU大使に任命すると発表した。英中銀副総裁に就任するジョン・カンリフ氏の後任として、11月1日付で就任する。英国でEU離脱論が高まりをみせるなか、ロジャース氏はキャメロン首相の意向を受けてEU加盟条件の再交渉を担当する。

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ロジャース氏は大手銀行を経て、保守党の重鎮で親EU派として知られるケン・クラーク氏の財務相時代(1994~95年)に主席顧問を務めたほか、96~99年には当時、欧州委員会副委員長だったレオン・ブリタン氏の個人事務所で責任者を務めていた。さらにブレア労働党政権下では財務官僚として対EU政策の指揮を執った経歴を持つ。キャメロン政権では英国がホスト役を務めた今年5月の主要8カ国(G8)首脳会議で事前準備を取り仕切るなど、首相の信頼も厚い。

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キャメロン首相は2015年の次期総選挙で与党が勝利した場合、EUとの間で英国の加盟条件について再交渉した上で、17年末までにEU残留の是非を問う国民投票を行うと表明しているが、今年5月に行われた統一地方選挙ではEU離脱を主張する右派政党・英国独立党(UKIP)が大躍進する一方、与党は惨敗しており、保守党内部からは再交渉の意義を否定する意見や、総選挙前に国民投票の実施を明文化すべきだといった声が出ている。

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ロジャース氏はこうした難しい局面で対EU政策の舵取りを担うことになる。ある外交筋はロジャース氏について「キャメロン首相の考えに極めて近い人物」と評したうえで、反EUを唱える保守党議員から早くも同氏の起用に批判的な意見が出ていることに触れ、「今後3-4年は極めて政治的な役割を求められることになる」とコメントした。

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