2013/9/9

産業・貿易

欧州保険業界、新規制対応で過去2年に90億ユーロの費用負担

この記事の要約

大手会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツ傘下の英コンサルティング会社デロイトLLPが5日公表したリポートによると、欧州の大手保険会社は金融危機以降に導入された新たな規制に対応するため、過去2年間に平均2億ユーロ以上を投 […]

大手会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツ傘下の英コンサルティング会社デロイトLLPが5日公表したリポートによると、欧州の大手保険会社は金融危機以降に導入された新たな規制に対応するため、過去2年間に平均2億ユーロ以上を投じており、業界全体では費用負担が最大90億ユーロに上ることが分かった。

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金融セクターでは2008年9月のリーマンショックに端を発する金融危機をきっかけに、世界的規模で新たな規制が相次いで導入されており、保険会社も銀行と同様、新ルールを遵守するための対応を迫られている。保険会社に適用される規制としては、米国で今年3月に導入された「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)」(米国民や米国居住者によるオフショア口座を利用した租税回避を目的とする規制)や、EUが年内の導入を目指している「ソルベンシーII」(銀行に対する自己資本比率の最低基準を定めた新BIS規制に相当する保険分野の新ルールで、保険会社に一定以上のソルベンシーマージンの保有を義務付けることなどを柱とした指令案)などがある。

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デロイトは新たな規制の導入が欧州の保険業界に与える影響を探るため、EU域内で活動する大手40社の幹部を対象に聞き取り調査を行った。それによると、新規制に対応するため40社が昨年1年間に投じた費用はおよそ50億ユーロに上り、回答者の大部分が少なくとも15年までは費用負担が引き続き拡大するとの見方を示している。

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デロイトの保険担当パートナー、フランチェスコ・ナガリ氏は「保険業界ではこれまでにないペースでさまざまなルールが導入された。新たな規制は保険会社に不確実性をもたらす一方で、新たな能力を要求している」と指摘している。

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