2013/9/30

総合 –EUウオッチャー

クロアチアが犯罪者引渡しでEUに譲歩、年内の法改正を約束

この記事の要約

EU新規加盟国のクロアチアがEUの犯罪者引渡しに関するルールに違反しているとして、欧州委員会が制裁の構えを示している問題で、クロアチア政府は25日、欧州委の要求に応じた法改正を年内に実施する意向を表明した。\ 問題となっ […]

EU新規加盟国のクロアチアがEUの犯罪者引渡しに関するルールに違反しているとして、欧州委員会が制裁の構えを示している問題で、クロアチア政府は25日、欧州委の要求に応じた法改正を年内に実施する意向を表明した。

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問題となっているのは、EUで2004年に導入した「共通逮捕状」制度に基づき、加盟国が互いに犯罪者の身柄を迅速に引き渡すことを取り決めたルール。他の加盟国で2002年より前に逮捕状が出たケースについては、例外措置として引渡しを拒むことができるが、同規定は2004年1月時点でEUに加盟していた国のみに適用される。

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ところが、クロアチアはEUに加盟する3日前の6月28日、このルールを同国でも適用することを定めた法案を可決した。旧ユーゴスラビア時代の1983年に、クロアチア人の反体制活動家をドイツで暗殺したとして、ドイツが逮捕状を出しているヨシップ・ペルコビッチ容疑者の身柄引き渡しを避けるのが目的とみられている。同容疑者は旧ユーゴ時代の秘密警察UDBAに勤務し、クロアチア独立後に同国諜報部の幹部として活躍して、1991~95年には副国防相を務めた人物だ。

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これについて、欧州委はEU法違反として非難し、是正を求めたが、クロアチア側の対応が鈍いことから、18日に制裁手続きを正式に開始。クロアチアの「シェンゲン協定」加盟に向けた準備を支援するための補助金8,000万ユーロの凍結などを検討していた。

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クロアチアはこうした圧力に屈し、法改正に踏み切ることを決めた。ミルジェニッチ法相によると、共通逮捕状制度を全面的に順守する形での法改正を年末までに完了させるとしている。

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欧州委のレディング委員(司法担当)は、クロアチア政府の対応を歓迎しながらも、法改正の進展を注意深く見守る必要があるとして、現時点では制裁手続きを中止しない方針を示した。

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