2013/10/28

競争法

ドイツポストの補助金問題、欧州裁が再調査の正当性検証へ

この記事の要約

欧州司法裁判所は24日、郵便・物流サービスで欧州最大手のドイツポストに対する独政府の補助金をめぐる問題に関連して、補助金の返還命令を無効とする判決が出た後に、欧州委員会が範囲を拡大して再調査を行ったことに対するドイツポス […]

欧州司法裁判所は24日、郵便・物流サービスで欧州最大手のドイツポストに対する独政府の補助金をめぐる問題に関連して、補助金の返還命令を無効とする判決が出た後に、欧州委員会が範囲を拡大して再調査を行ったことに対するドイツポスト側の異議申立てを却下した決定について、一般裁判所に妥当性を検証するよう命じた。欧州委はドイツポストに対し、最大10億ユーロを独政府に返還するよう求めているが、再調査が不当と判断された場合は決定の見直しを迫られることになる。

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ドイツポストをめぐっては、民営化が進められた1990年代から欧州委と独政府の間でEUの国家補助規定との整合性について攻防が続いている。欧州委は2002年、ドイツポストが政府から不当な補助金を受け取ったとして同社に5億7,200万ユーロの返還を命じたが、第一審裁判所(当時)は同年末、欧州委は補助金が不正に使用されたことを十分に証明できていないと指摘し、返還命令を無効とする判決を下した。

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欧州委はその後、米郵便・物流大手UPSの申立てを受け、07年9月にドイツポストに対する新たな調査に着手し、11年5月には公務員年金の積立ルールに関連した費用の計上に調査範囲を拡大した。ドイツポストはこれに対し、02年の判決で同社に対する補助金の違法性は否定されており、欧州委の再調査は不当だと主張。一般裁判所に調査の差止めを求める訴えを起こした。しかし、裁判所が訴えを退けたため、欧州委は12年1月、ドイツポストに対して5億~10億ユーロを独政府に返還するよう命じた。

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欧州裁は今回、一般裁判所がドイツポストの訴えを却下した判断の根拠づけには「法的な誤り」があり、同社に拡大調査の正当性について争う機会が与えられるべきだったと指摘している。

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