2013/11/11

環境・通信・その他

同性愛への迫害を亡命理由に、欧州裁が見解

この記事の要約

欧州司法裁判所は7日、同性愛を理由に自国で深刻な迫害を受けるおそれがある場合、EU諸国への亡命を認めるべきとする見解を示した。これはアフリカ出身の3人の同性愛者からの亡命申請を受け、オランダの国家評議会(Council […]

欧州司法裁判所は7日、同性愛を理由に自国で深刻な迫害を受けるおそれがある場合、EU諸国への亡命を認めるべきとする見解を示した。これはアフリカ出身の3人の同性愛者からの亡命申請を受け、オランダの国家評議会(Council of State)が欧州裁に判断を求めていたもの。オランダの司法当局は今後、EU司法裁の見解に基づいて亡命の可否を判断することになる。

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オランダが判断を求めていたのは、シエラレオネ、ウガンダ、セネガル出身の同性愛者からの亡命申請。同性愛者の権利保護団体である国際レズビアン・ゲイ協会(ILGA)によると、現在70カ国以上で同性愛が刑罰の対象となっており、シエラレオネとウガンダでは終身刑、セネガルでは最長14年の禁錮刑が科される可能性がある。

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EU司法裁は判決文で、個人の性的指向は「人間のアイデンティティを形成する基本的な要素」であり、弾圧や処罰の対象にすることは許されないと強調。同性愛者は特定の性的指向のためにしばしば迫害の対象となっており、国連が1951年に採択した「難民の地位に関する条約」が定める難民の定義のうち、「特定の社会的集団」に該当すると指摘し、同性愛は亡命の理由として認定できると結論づけた。ただし、同性愛を罰する法律が施行されているだけでは不十分で、同性愛者が実際に弾圧や拷問などの深刻な危険にさらされていることが亡命認可の条件になるとつけ加えた。

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一方、オランダはロシアで6月に制定された未成年者への同性愛の宣伝活動を禁止する法律を同性愛者に対する弾圧とみなして強く非難しており、このところ両国の間で緊張が高まっている。ティメルマンス外相は今月初め、ロシアからの亡命理由として同性愛を認める方針を表明したばかりだが、欧州裁がこのタイミングで同性愛に対する迫害をEUへの亡命理由として容認する判断を示したことで、新たにEUとロシアの関係に影響が及ぶ可能性もある。

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