EUと中国は21日、北京で首脳会議を開き、投資協定締結に向けた交渉を開始することで合意した。EUのファンロンパイ大統領、欧州委員会のバローゾ委員長、中国の李克強首相が会議後に交渉開始を宣言した。双方の企業による投資保護を強化するとともに、外資に対する参入規制の緩和などを進めて投資の拡大を図る。交渉開始から2年半以内の妥結を目指す。
\EUは中国にとって最大の貿易相手で、EUにとっても中国は米国に次ぐ貿易相手だが、それに反して投資規模は小さい。中国からEUへの投資は数年前から年2倍のペースで拡大しているものの、海外からEUへの投資全体に占める中国のシェアは1%に満たない。一方、EUから海外への投資をみると、米国向けが30%を占めるのに対し、中国向け(香港を除く)は4%台にとどまる。
\中国では海外の企業による投資を法的に保護する制度が十分に整備されていないことや、進出にあたって現地企業との合弁事業を義務づけられる制度などが海外からの投資を妨げる主な要因になっている。EU加盟国の大半はすでに中国との間で個別に投資協定を結んでいるが、今後の交渉ではEUが一体となって中国市場への参入規制の緩和を求めていく。
\李首相は共同記者会見で「中国とEUの貿易額は急速に拡大しているが、直接投資については大きな潜在力がある」と指摘。自由貿易協定(FTA)を視野に、保護主義を排除して相互に市場開放を進めることでも双方が一致したことを明らかにし、EU・中国間の貿易額を2012年の5,800億ドルから20年までに1兆ドルに引き上げる目標を掲げた。
\一方、ファンロンパイ大統領は「EUと中国の関係では引き続き貿易と投資が最重要課題であり、投資保護と市場アクセスの拡大を目指す投資協定の締結に向けた交渉開始で合意できたことは大きな一歩だ。双方の企業が力強く成長するうえで公正な競争条件、透明性、法の支配に対する信頼感が不可欠だ」と述べた。
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