EU加盟国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は13日、銀行員に対する報酬規制の実施ルールを発表した。EBAは当初、年間報酬額が50万ユーロを超えるすべての行員を対象に、ボーナス(賞与)の支給額を原則として年間給与と同額までとする規制を適用する方針を示していたが、対象となる行員の業務が「銀行全体のリスクプロファイル」に「実質的な影響」を及ぼさないケースでは、規制対象から除外できるようにする。欧州委員会、欧州議会、EU加盟国の承認を経て2014年から新ルールが導入される。
\銀行員の賞与規制は国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」に基づく第4次資本要求指令の枠組みで導入され、EU域内に本社や現地法人を置くすべての銀行に適用される。銀行員の賞与は原則として年間給与と同額が上限となるが、株主の承認があれば給与の最大2倍まで支給することが可能。EBAがことし5月にまとめた原案では、年間報酬額が50万ユーロを超える行員に加え、報酬額が50万ユーロに満たない場合でも同一行で報酬が上位0.3%の行員や、賞与の支給額が年間7万5,000ユーロを超える行員が規制対象となっていた。
\これに対し、EBAが今回示した最終案によると、年間報酬額が50万ユーロを超えるケースでも、所属部署や業務内容から判断して当該行員が組織全体のリスクテイクに実質的な影響力を持たないことを明確に示すことができる場合には、銀行は各国の監督機関に対して規制の適用除外を申請することができる。実際の手続きは報酬額によって異なり、年間報酬額が50万ユーロ~75万ユーロの場合は届出だけで済むが、75万ユーロを超える場合は各国当局による事前の承認が必要。さらに100万ユーロを超えるケースでは、各国当局は承認の可否を判断する前にEBAに報告しなければならない。
\EU加盟国は3月、無責任なリスクテイクの抑制を目的とする賞与規制の導入で合意し、欧州議会も4月の本会議で賞与規制を含む銀行の自己資本規制に関する法案を可決した。しかし、業界側は過度の規制は優秀な人材をつなぎ止めるための固定給の引き上げにつながり、銀行セクターのリスクを増大させるなどとして反発を強めており、世界有数の金融センターを抱える英国は9月、規制の撤回を求めてEU司法裁判所に訴えを起こしている。EBAはこうした動きを踏まえて実施ルールの見直しを進めていた。EBAは最終案が承認された場合、域内で最大1万2,000人の銀行員が賞与規制の適用を免れるとみている。
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