2014/3/3

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏の14年成長率1.2%、0.1ポイント上方修正=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は2月25日に発表した最新の経済予測で、ユーロ圏の2014年の域内総生産(GDP)予想伸び率を1.2%とし、前回(11月)の1.1%から0.1ポイント上方修正した。13年はマイナス0.4%だったが、ドイツの成長 […]

欧州委員会は2月25日に発表した最新の経済予測で、ユーロ圏の2014年の域内総生産(GDP)予想伸び率を1.2%とし、前回(11月)の1.1%から0.1ポイント上方修正した。13年はマイナス0.4%だったが、ドイツの成長拡大、スペイン経済の復調などで景気回復が進むと予想。15年の予想成長率も0.1ポイント引き上げ、1.8%まで拡大すると見込んでいる。

ユーロ圏経済は債務危機の沈静化に伴って回復傾向にあり、13年4~6月期に景気後退から脱却。3期連続でプラス成長となった。回復は緩やかで、14年の予想成長率は米国の2.9%、日本の1.6%を下回るものの、欧州委のレーン委員は記者会見で「危機の最悪期は過ぎ去ったようだ」と述べた。

EU28カ国ベースの予想成長率は、13年が1.5%、14年が2%。いずれも前回から0.1ポイント上方修正した。

国別では、ドイツの成長率が14年に1.8%、15年に2%となり、13年の0.4%から大幅に拡大すると予想。ユーロ圏4番目の経済国であるスペインが14年に1%のプラス成長に転じるとの予想を打ち出した。これは前回の0.5%から0.5ポイントの上方修正となる。

その他の主要国の14年の予想成長率をみると、フランスが1%、イタリアが0.6%と、小幅の伸びにとどまる見通し。フランスは前回から0.1ポイント引き上げられたが、イタリアは0.1ポイント下方修正された。

債務危機でEUなどから金融支援を受けている国では、ギリシャとポルトガルが14年にプラス成長に転じる見込み。キプロスは14年がマイナス4.8%で、プラス成長復帰は15年にずれ込むと予想した。

一方、ユーロ圏の消費者物価については、懸念されているデフレには陥らないものの、14年が1%、15年が1.3%と、低水準にとどまると予想。14年は前回から0.5ポイントも下方修正した。昨年に12.1%だった失業率も14年が12%、15年が11.7%と、わずかな改善にとどまる見通しだ。

財政赤字は改善が進む見込み。ユーロ圏の赤字は14年が域内総生産(GDP)比2.6%、15年が同2.5%とし、13年の3.1%から縮小すると予想した。ただ、フランスは14年が4%、15年が3.9%となり、EUの財政規律で上限となっている3%を超過する見込み。15年までに3%以下に削減するという義務を順守できないことになる。16年の財政規律順守を義務付けられているスペインも、15年の赤字は6.5%と上限を大きく上回る見通しで、目標達成が難しい情勢だ。