2014/3/3

環境・通信・その他

ローミング料上乗せ廃止前倒し、欧州議会産業委が採決先送り

この記事の要約

欧州議会産業委員会は2月24日、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング(相互接続)にかかる上乗せ料金の廃止を柱とする規制案の採決を先送りした。ロイター通信によると、同委は採決延期の決定について「手続き上の理由 […]

欧州議会産業委員会は2月24日、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング(相互接続)にかかる上乗せ料金の廃止を柱とする規制案の採決を先送りした。ロイター通信によると、同委は採決延期の決定について「手続き上の理由」と説明している。新たな採決日程は公表されていないが、次回の産業委は3月17日に開かれる予定。

EUでは2007年6月に「携帯電話のローミングに関する規則」が制定され、域内の他の国で音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信を利用する際の国際ローミング料金が段階的に引き下げられている。昨年7月に導入された最新の料金体系を初めて規制が導入された07年の水準と比較すると、データ通信は最大91%、音声通話とSMSも80%以上の料金引き下げが実現した。しかし、欧州委員会は通信分野における単一市場を創設するため、域内のどこにいても同じ料金で各種サービスを利用できるようにする必要があるとの考えに立ち、昨年9月に国際ローミングにかかる上乗せ料金の廃止を盛り込んだ通信規制改革案を発表。欧州議会とEU加盟国で欧州委の提案について検討が進められている。

欧州委は改革案の中で、16年末までに域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング手数料の上乗せを原則として廃止し、国内向けと同水準の料金水準を実現するとしている。ロイターが入手した内部文書によると、欧州議会産業委はさらに一歩進め、15年12月15日までに通話・SMS・データ通信にかかる国際ローミングの上乗せ料金を廃止することを提案している。

産業委は一方、無線通信インフラを持つ事業者が自社と競合するサービスに対し、意図的に通信速度を遅くしたり、データ通信量を制限したり、不当に高い通信料金を請求するなどの差別的行為を禁止する「ネット中立性」の原則を支持。スマートフォンの急速な普及などを背景に、ネット上のトラフィックがひっ迫するなか、「質の高いサービスの提供が一般的なインターネット接続に物理的な不利益をもたらすことがあってはならない」と指摘している。