2014/3/17

総合 –EUウオッチャー

伊新政権が経済改革計画を発表、財政再建重視から景気浮揚に転換

この記事の要約

イタリアのレンツィ新首相は12日、2月に発足した新政権の経済改革計画を発表した。減税による景気押し上げを柱とする内容。財政再建重視から景気浮揚に舵を切った格好だ。 同日の閣議で承認された同計画では、月収が1,500ユーロ […]

イタリアのレンツィ新首相は12日、2月に発足した新政権の経済改革計画を発表した。減税による景気押し上げを柱とする内容。財政再建重視から景気浮揚に舵を切った格好だ。

同日の閣議で承認された同計画では、月収が1,500ユーロ以下の低所得層の所得税を年1,000ユーロ引き下げる。個人消費拡大を目指したもので、5月1日付で実施する。年間の減税規模は100億ユーロを超える。

事業者向けでは、地方税の州事業税(IRAP)の税率を10%引き下げるほか、中小企業のエネルギー費を助成する。民間企業が抱える約680億ユーロの公共機関向け売掛債権について、政府が7月末までに全額を支払うことや、35億ユーロを投じて学校改修を進める公共事業の実施も盛り込んだ。

イタリアは単年の財政赤字がEUの財政規律で上限となっている国内総生産(GDP)比3%以内に収まっているが、累積債務が同133%とユーロ圏でギリシャに次ぐ高水準にあり、EUから財政再建を求められている。このため前政権は財政緊縮を迫られ、効果的な景気回復策を打ち出せないでいた。

レンツィ政権は、昨年10~12月期に景気後退を脱したものの、力強さを欠いている成長を押し上げるため、景気浮揚重視に方向を転換した。景気拡大による税収増で財政再建を進める形になる。

レンツィ首相は景気拡大をEUに約束した財政再建と両立させながら進める方針を強調。減税などによって空いた穴は、政府の経費削減、今年の財政赤字削減目標をGDP比2.6%から3%に緩めることや、国債取引を除くキャピタルゲイン課税の税率の20%から26%への引き上げ、国債発行による資金調達のコスト圧縮、景気改善による付加価値税(VAT)の税収増加などによって埋めるとしている。