独が5Gインフラから中国製品排除か、通信会社に除去命令の可能性

5G通信インフラで現在、使用している重要な構成機器の詳細情報を提出するようドイツ内務省が国内の移動通信サービス事業者に命じたことが、7日に明らかになった。安全保障上のリスクなどを踏まえた措置。同省は特定のメーカーを対象としたものではないと強調しているものの、中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の排除に向けた措置と目されている。

2021年に施行された改正連邦情報技術セキュリティ庁法(BSIG)9b条には、ドイツの公共秩序ないし安全保障に悪影響をもたらす恐れのある重要構成機器を内務省は関連省庁と協議して通信インフラから排除できると記されている。そうした機器の製造元が自国政府の直接・間接的な統制下にあるかどうかや、独、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)の安保目標に合致しないかどうかも審査の判断基準となる。

5Gインフラに新規投入する機器についてはすで投入前審査が行われている。今回の措置はすでに使用している機器を審査するもので、安全保障などに悪影響をもたらす恐れのあると判断された場合は使用が禁止され、通信会社は当該機器をインフラから取り除かなければならなくなる。

『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、内務省は現時点でファーウェイとZTE製機器の使用禁止が決定されると見込んでいる。ただ、禁止決定が下された場合、即時除去が通信会社に命じられることはなく、数年間の猶予期間が与えられるという。通信インフラ機器は通常、数年で交換されることから、禁止命令は実質的に、交換後に投入する製品を中国メーカー以外のものにすること意味するもようだ。

ドイツの5Gサービス4社のうち新規参入の1&1は中国製品を一切、使用していない。一方、ドイツテレコム(Tモバイル)、ボーダフォン、テレフォニカ・ドイチュラント(O2)の3社は基幹回線網(コアネットワーク)で数年前から中国製品を使っていないものの、コア以外の5Gネットワークでは華為製品が約5割を占めている。「重要な構成機器」には非コアネットワークの機器も含まれることから、除去の猶予期間が短い場合は財務上の痛手が大きい。テレフォニカの広報担当者は同紙の問い合わせに、「構成機器(の使用)が禁止されるのであれば、交換のために十分な長さの期間が与えられなければならない」と強調した。

内務省は4月4日までの書類提出を通信各社に命じた。審査は夏まで行われると業界内では予想されている。

今回の措置を政府がなぜ打ち出したのかは不明。このほど訪米したショルツ首相に米国のバイデン大統領が圧力をかけたとの観測もあるが、裏は取れていない。

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