欧州委員会は15日、EUとタイの自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を再開すると発表した。同国とのFTA交渉は2013年に開始されたが、14年に軍のクーデターが起きたため中断されていた。
EUはFTAによって東南アジア第2の経済大国であるタイとの通商関係を深め、急成長する同地域に対するEUの戦略的関与を強化したい考えだ。
欧州委はFTAの目的について、物品、サービス、投資、政府調達の市場アクセス、迅速かつ効果的な衛生・植物検疫手続き、地理的表示を含む知的財産権の保護、デジタル貿易やエネルギー・原材料の貿易に対する障害の除去といった幅広い問題に取り組むことによって貿易と投資を促進すると指摘。デジタル、グリーン化への移行も支援したいとしている。
また、貿易と持続可能な開発(TSD)に関する原則に沿って、サステナビリティ(持続可能性)も協定の中心となり、労働者の権利と環境の保護、脱炭素化目標の達成に向けた支援も行う方針だ。
EUとタイは数カ月以内に交渉を再開する予定。EU側は第1回の交渉を終えてから、タイへの提案内容を公表する。
タイにとってEUは世界4番目の貿易相手。22年の物品貿易は420億ユーロを超えた。投資でも重要な地位を占めており、タイに対する海外直接投資(FDI)でEUは世界3位。全体の約10%を占めている。
EUはタイで軍事クーデター後に民主化が進んでいることから、19年にFTA交渉再開を模索することを決めていた。